異色、貪欲…甲子園に挑む指導者たち=神村学園・山本監督、佐世保実・清水監督

大利実

指導法を貪欲に追い求める佐世保実・清水監督

 初戦、5対3の接戦の末に札幌第一高(南北海道)を下したのが長崎代表の佐世保実高(長崎)だ。実に20年ぶりの甲子園1勝を挙げた。04年に夏の甲子園に出場しているが、近年は低迷が続いていた。それを立て直したのが、09年夏に就任した清水央彦監督である。

 清水監督の前任は同じ長崎の県立清峰高だった。清峰高は05年夏に甲子園初出場を果たすと、初戦で春夏連覇を狙った愛工大名電高(愛知)を下し、高校野球ファンを驚かせた。以降は06年春に準優勝を果たすと、09年春には菊池雄星(埼玉西武)がいた花巻東高(岩手)を破り、ついに全国の頂点に立った。
 この快進撃を、08年まで部長・コーチの立場で支えていたのが清水氏だった。

 ピッチャー指導に定評があり、古川秀一(オリックス)や今村猛(広島)を育て上げた実績がある。
 全国的にも有名になった丸太トレーニングは、清水監督が発案した。5〜7キロの丸太を持って、約300メートルの距離を走る。これをおよそ30本。練習を見学に行った指導者から、「救急車で運ばれる選手もいたよ」と教えてもらった。とにかく、きつい。

 清水監督は08年秋に、清峰高を辞めている。次の職場が佐世保実高に決まるまで、「浪人生活」を送っていた。
 この浪人生活の時に、清水監督とお会いしたことがある。場所は長崎ではなく、神奈川の川崎市にある県立川崎北高だった。
 清水監督の胸の中には「ピッチャーはつくれるが、バッティングは教えきれない。次は、どこかの高校で監督をやりたい。その時のためにバッティング指導を学んでおきたい」という思いがあった。そこで人づてに情報を集め、向かった先が川崎北高だった。
 川崎北高の佐相眞澄監督(現・県相模原高)はバッティング指導に長けており、07年秋には桐蔭学園高をコールドで下すなど快進撃を続け、ベスト4に食い込んだ。

 昨年は「チームづくりを学びたい」と、興南高(沖縄)の我喜屋優監督のもとを訪ねている。清峰で実績を重ねたにもかかわらず、「知りたい」と思うことは貪欲に追求し続けている。
 次戦は宇部鴻城高(山口)。清水が愛情を注いで育てたエースの木村隆志が、どこまで抑えられるか。そのピッチングが勝利のカギを握る。

<了>

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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