西武・星秀和に飛躍のきっかけを与えた“掛布打法”

埼玉西武ライオンズ

捕手から内野手、外野手へ 結果を出せなかった7年間

プロ8年目の今季、ようやく花を咲かせようとしている星秀和 【(C)SEIBU Lions】

 プロ8年目を迎える埼玉西武・星秀和がようやく花を咲かせようとしている。8月2日、地元・前橋で行なわれたオリックス戦で途中出場ながら2打数1安打。ひと際大きな歓声で迎えた前橋のファンを喜ばせた。
 今季は8月6日時点で自己最多の37試合に出場して打率2割5分8厘、1本塁打、9打点の成績を残している。

 04年のドラフトで前橋工高から5巡目で入団したときには捕手だった。「高校通算39本塁打」という打撃を買われ、“打てる捕手”としての期待がかかっていた。
 しかし、1年目こそ2軍で24試合マスクをかぶったものの、2年目には内野手に転向、7年目の昨季には外野手へ転向と、コンバートを繰り返した。背番号も61から52、33と変わり、器用さは評価されながらも、打撃に毎年苦しみ続けた。

 そんな星を見守り続けていたのが田辺徳雄2軍打撃コーチだ。
「入団してから6、7年ファーム(2軍)暮らしの選手を付きっきりで指導してもらって。本当に感謝しています」と星も語る通り、技術だけでなく、野球選手としての姿まで辛抱強く指導してきた。

「あいつ、ナメてんな」田辺コーチとの出会い

 田辺コーチに「根本から変えられた」というその始まりは、1年目のオープン戦にあった。ルーキーながらキャンプをA班(1軍)でスタートした星。オープン戦も一軍に帯同していた。
「千葉マリン(現・QVCマリン)での試合かな? ヒットを2本打ったのにも関わらず、その試合で2軍に落とされたんですよ。(ヒットは)ライト前と内野安打の2本。『なんでだよ!』って思いながら次の日に2軍に合流して、田辺コーチに『お願いします』ってあいさつに行きました」

 その時だった。
「(田辺コーチに)『ナイスヒット!』って言われたんですよ。『ナイス内野安打!』って。でも僕も1年目なんだからヒットが出ればいいじゃないですか、アピールになるし。なのに『全然ダメですよ、当たりもショボいし……』なんて生意気なことを言ったんです。そしたら『あいつ、ナメてんな』って。野球以外のことでもメチャメチャ怒られてきました」

 田辺コーチが「性格から変えた」と振り返る2軍での生活、星は誰よりも野球に没頭した。「練習量では栗山(巧)以上だったんじゃないか」と言われる練習量だが、それも全て「コーチが付きっきりで見てくれたから」と星は語る。

「栗山さんと僕は種類が違うと思います。栗山さんはずっと自分でやってた。一人で黙々とやっていました。でも、僕は田辺さんがずっと見てくれてたんです」

 時には厳しい練習で思うように動かなくなった足を自らのバットで殴ったこともある。
「でも、それも田辺さんがそこまでやってくれてるわけじゃないですか。すごいですよね。大した実績もなく2軍にいる選手をこれだけ面倒見てくれるコーチっていうのはなかなかいないですよ。すごく感謝しています」

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