「あり得ないことを起こす」 優勝に向けて燃えるロッテ

千葉ロッテマリーンズ

「42年ぶりの首位ターンは選手の頑張りに尽きる」

7月18日の楽天戦でサヨナラ犠飛を放った福浦(中央)を祝福するロッテナイン 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

 前半戦のラストゲームは、劇的な幕切れだった。
 7月18日、本拠地・QVCマリンフィールドに東北楽天を迎えて行われた試合。3対3の同点で迎えた9回1死一、三塁で、代打・福浦和也がラズナーの落ちる球を捉えると、打球はライトへの浅い飛球となった。
 三塁走者の荻野貴司は、迷わずスタートを切る。快足を飛ばし、トップスピードのまま、ヘッドスライディングで本塁へ。クロスプレーとなったが、捕手・岡島豪郎のブロックをかわしてホームイン。ナインはベンチを飛び出し、殊勲打の福浦をウォーターシャワーで祝福した。

 前半戦の最後をサヨナラ勝ちで締めくくった千葉ロッテ。ここまでの81試合では40勝31敗10分け(勝率5割6分3厘)。2位・北海道日本ハムに2ゲーム差の首位をキープしたまま、リーグ戦前半を折り返した。
 千葉ロッテの前半戦首位ターンは、42年ぶりのことだ。球団史上3度目で、1960年(当時は大毎)、1970年の過去2度ともにリーグ制覇を果たしている。

 節目の試合を粘りでものにした西村徳文監督は「勝つのと負けるのでは違いますからね。サヨナラで勝てたのは、後半戦の開幕につながっていくと思う」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。そして、「42年ぶりの首位ターンは、選手たちの頑張りに尽きる」とたたえた。

選手層の厚さで首位をキープ

 今季、球団として60年ぶりの開幕4連勝という好スタートを切った千葉ロッテは、その後も白星を重ねていく。5月13日までの34試合を消化した時点で、20勝12敗2分け(勝率6割2分5厘)。2位・北海道日本ハムに2ゲーム差の首位で、セ・パ交流戦に突入した。

 昨年は負け越し、順位を落とす要因となった交流戦だったが、今季は12勝7敗5分けと勝ち越し、12球団中3位で24試合を切り抜けた。

 リーグ戦が再開されてからは、23試合で8勝12敗3分け。引き分けを挟んで6連敗を喫するなどやや苦しい展開となったが、7月16日の東北楽天戦ではエース・成瀬善久が6安打完封勝ち。ハーラートップタイの9勝目を挙げ、連敗を止めた。そして、18日のサヨナラ勝ちで3連戦を2勝1敗として前半戦を終えた。

 5月11日に首位に立ってからは、一度もその座を譲っていない。とはいえ、不安材料がないわけではない。
 打線は、交流戦終了時点ではチーム打率2割6分と好調だったが、リーグ戦再開後の23試合では2割3分8厘と湿っている。
 投手陣では、7月5日の東北楽天戦で今季8勝目を挙げた唐川侑己が右ヒジに張りを覚え、戦線を離脱。また、5月末までに4勝を挙げたルーキー・藤岡貴裕は6月に4連敗し、7月から2軍で調整を続けている。

 こうした状況をカバーしているのが、2軍から昇格してきた選手たちだ。打者では、4月14日に1軍に昇格した角中勝也が、5月3日のオリックス戦からクリーンアップに定着。前半戦終了時点でパ・リーグ4位となる打率3割1分3厘をマークし、33打点、2本塁打と活躍した。角中はこのブレークで「マツダオールスターゲーム2012」にも「最後の一人」として選ばれる特別枠で初出場を果たしている。

 投手では、5月末から2軍で調整していた小野晋吾が7月4日に再昇格。また上野大樹が同13日に今季初めて昇格した。7月はともに2試合ずつに先発し、いずれもQS(先発投手が6イニング以上を投げて自責点3以内に抑えること)を達成している。

「角中は2軍でも気持ちを入れて練習してくれて、1軍でもしっかりやってくれている。小野と上野は先発投手が抜けた穴を埋めてくれている。後半戦に向けても期待しています」と西村監督。この選手層の厚さが、首位に立つチームを支えているのだ。

戦いは後半戦へ「みんなが向いている方向は、ひとつです」

 千葉ロッテからは角中をはじめ5選手が出場するオールスターゲームを挟み、後半戦は7月25日の埼玉西武戦(西武ドーム)から再開される。
 西村監督は、「せっかく首位ターンできたので、最後までしっかりこのポジションをキープして、優勝に向けてやっていかなければならない」と意気込みを語った。

 そして、チームの中心選手の一人・里崎智也は力強くこう言い切った。
「みんなが向いている方向は、ひとつです。優勝に向かって、意思は統一されています。(一昨年の)日本一から(昨年は)最下位になって、今年はまた日本一になる。そんなあり得ないことを起こしてやろうという思いが強いですね」

 前半戦最後の試合を終えた後、好走塁でサヨナラを決めた荻野貴は、すぐにバッティング練習に向かった。その姿が、里崎の言葉を裏付けていた。
 最下位から日本一へ――。残り63試合。千葉ロッテは、このまま後半戦を戦い抜く。

<了>
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