日本、成す術なくトルコに完敗=女子バスケ五輪世界最終予選 トルコ戦 戦評&コメント

小永吉陽子

女子バスケ五輪世界最終予選の初戦を迎えた日本は、地元のトルコと対戦。相手の高さに苦しみ完敗を喫した 【加藤よしお】

 バスケットボール女子のロンドン五輪世界最終予選第2日が26日(日本時間27日)、トルコ・アンカラで行われ、1次リーグでトルコと対戦した日本は49−65で初戦を落とした。日本は27日にプエルトリコと戦い、勝てば準々決勝へ駒を進める。

 今大会は、12チームが出場し、3チームずつ4グループに分かれて総当たりの1次リーグを戦う。その中の各グループ上位2チームが準々決勝に進出し、勝利した4チームがロンドン五輪の出場権を獲得する。さらに準々決勝で敗れた4チームで準決勝、決勝のトーナメントを戦い、勝ち抜いた1チームが五輪に出場する。

トルコの高さを生かしたプレーに対応できず完敗

 トルコは1戦目のプエルトリコ戦とスタメンを変えて、196センチの帰化選手クアニトラ・ホーリングスワースを起用。194センチのエースのネフリイェ・ユルマズとともにツインタワーの高さを生かしてインサイドで主導権を握った。アウトサイドからはエスメラール・トゥンクリューの3点シュートやドライブインなどが確率よく決まり、内外角から多彩な攻めを展開。ディフェンスでも日本の外角陣にプレッシャーをかけて、オフェンスの足を止めた。

 挽回を図りたい日本は、後半開始早々、高田真希(デンソー)、矢野良子(トヨタ自動車)、間宮佑圭(JX)の3連続ゴールで30−36と迫るが、見せ場はそこまでだった。オフェンスでは最後までトルコの高さを崩す動きがなく、ディフェンスでは準備した2−3ゾーン(ゴール下にセンター、その左右にフォワード、前方にガード2人を配置したゾーン)も効かずに、成す術なく敗れた。

 これで日本が属するA組はトルコが2勝でグループ1位が決定。日本は27日、第2戦でプエルトリコと対戦。次戦に勝った方がグループ2位として準々決勝に進めるだけに、負けられない一戦を迎える。

 以下、内海知秀ヘッドコーチと選手たちのコメント。

内海知秀ヘッドコーチ 「課題がたくさん出た」

初戦の敗戦に関して「課題がたくさん出た」と語る内海HC。次戦のプエルトリコ戦ではその課題を修正できるか 【加藤よしお】

 ゲームの出だしで点数が伸びず、ゲームの入り方がよくなかった。とくに、トランジションの走りの中で点数が取れなかったことが敗因。インサイドの高田(真希)と間宮(佑圭)は非常に頑張ってくれたが、外角陣へのディフェンスが厳しくて得点につながらなかった。

 相手にとられた65点は想定内で、相手を60点台で抑える目標についてはクリアできたが、やられた内容を見ると、リバウンドか取れず、ミスも多く、課題がたくさん出た。また、いくらディフェンスを頑張っても、そこからオフェンスにつなげることができず、波に乗り切ることができなかった。プエルトリコ戦では、外角陣のオフェンスのリズムを取り戻して臨みたい。

大神雄子(JX)「何かひとつかみ合わない」

けが明けながら、闘志あふれるプレーを見せた大神 【加藤よしお】

 この大会は順位を決める大会ではなくて、五輪に行くか行かないかを決める大会。今日のトルコ戦では、結果が求められている中で、こういう結果しか出せなかったことに対し、自分たちもすごく歯がゆいです。みんな戦う気持ちはすごく持っていたし、練習も一生懸命やってきているのに、何かひとつかみ合わない。それが何かわからなくて、正直もがいている状態です。でも、何かひとつがかみ合えばチームはひとつになれる。今日の試合がすべてじゃないので、もう一回、チームがひとつになって向かっていきたい。

 この大会のコートに立つために、(足の甲の舟状骨骨折の手術後に)リハビリをして準備をしてきた。ブランクがあったことに関して言えば、今日のゲームではパスから攻めようとしてしまった。ポイントガードと一緒に自分もパスばかり回していたことが、点数が伸びず、流れが悪かった原因。自分がコンボガードを任されている以上、強引に点を取るような姿勢も必要だし、パスなのか、シュートなのかの状況を、自分自身が見極めて整理していかなくてはならない。

 明日の相手であるプエルトリコは、2ガードがアグレッシブに点数を取りにくるチーム。自分と吉田(亜沙美)のガード2人が、相手のガードに対抗できるような感覚を取り戻せるような戦いにしたい。

矢野良子(トヨタ自動車)「思い切りがなかった」

初戦の重圧か、硬さがあったことを認めた矢野 【加藤よしお】

 今日は重たいゲームになってしまった。日本は初戦ということもあって硬さもあり、最初から足が止まって、みんなの思い切りがなかった。49点では勝てない。明日(プエルトリコ戦)勝たないと意味がないので、気持ちを切り替えたい。相手の特長は分かっているので、押さえるところをしっかり確認して臨む。足を動かせることができれば、日本らしい戦いはできる。

吉田亜沙美(JX)「広い視野が必要」

司令塔としてチームをけん引した吉田。反省点を次戦で生かすことはできるのか 【加藤よしお】

 勝てる試合だったと思うんですけど、大事なところで自分たちのミスが目立ってしまった。センターがリバウンドを取れなかったときに、ルーズボールにしてファワードとガード陣が取ってあげることができなかった。そこでしっかりリバウンドを取っていれば、速攻につなげられた部分もあったと思う。

 ポイントガードとしては、リョウさん(矢野)とシンさん(大神)のところをフェイスガードで守られた分、パス回しが遅くなってしまった。そこは自分がドライブインで切っていったり、逆サイドに展開したり、もっと広い視野を持ちながらゲームを作ること必要。そういう部分では、今日はゲームコントロールができなかった。反省点はたくさんあるが、切り替えて明日の試合に臨みたい。

<了>
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著者プロフィール

スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者となる。日本代表・トップリーグ・高校生・中学生などオールジャンルにわたってバスケットボールの現場を駆け回り、取材、執筆、本作りまでを手掛ける。

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