鹿児島は神村学園が大本命、福岡・佐賀・沖縄は混戦=九州・沖縄地区地方大会の見どころ

松倉雄太

センバツ出場の別府青山高と昨秋優勝の情報科学高がややリード=大分

選抜に出場した神村学園は鹿児島大会の大本命。平藪(写真)と柿澤が投打の軸となる 【写真は共同】

 秋優勝、春準優勝の情報科学高、選抜に出場した別府青山高がややリードした感がある。
 特に別府青山高は、5月の県選手権で現世代では初めて大分の頂点を奪った。エース中村太亮、打撃の中心・安翔太ら甲子園で健闘した経験が夏も武器となるだろう。情報科学高は投打にバランスが取れた好チームで、内川一寛監督も初の甲子園を意識できる陣容となった。
 注目右腕・安藤昇を擁する三重総合高がどれだけ大会をかき回せるか。情報科学高とは同じブロックに入り、勝ち進めば準々決勝で対戦する。
 昨秋の九州大会でベスト8まで進出した大分高は、全国ベスト4のサッカー部の快進撃に続き、悲願の甲子園出場を狙う。春優勝の大分西高は第1シードを獲得。小野公佑と中村貴輝の2年生バッテリーがチームの要だ。そのほか、昨夏覇者の明豊高はノーシードからのスタート。楊志館高杵築高藤蔭高のシード勢も力は十分。

エースで4番の2年生・富安擁する日章学園高が注目=宮崎

 春季大会を制した日章学園高が第1シード。2年生ながらエースで4番の富安翼がチームの大黒柱だ。逆に課題はその富安がチームの中で際立ちすぎている点か。第1シード校というプレッシャーをはねのけられるかは、3年生の下支えに懸かっていると言える。
 秋を制した都城商高は温水賀一、満行嘉の2枚看板が中心。4番の花堂尊光ら打線がどれだけ援護できるか。
 昨夏の覇者・日南学園高は、NHK杯を制して、優勝候補に加わってきた。昨秋九州ベスト8で選抜大会に出場した宮崎西高は、春の九州大会、NHK杯地区予選とその後の公式戦で敗れているが、戸高達郎、沓掛堅也の両投手を中心に甲子園の経験を生かしたい。
 投手力に自信を持つ宮崎日大高、春準優勝の延岡学園高、NHK杯ベスト4の聖心ウルスラ高などの私立勢がダークホース的存在。

神村学園高が一歩抜けた存在=鹿児島

 昨秋、今春の九州大会を連覇。直前のNHK旗を制し、九州管内では無敗を貫いてきた神村学園高が大本命になる。投手陣は平藪樹一郎と柿澤貴裕の左右二枚看板が安定。打線もこの2人を中心に、1番・新納真哉、下位の二河拓馬など、足を生かした多彩な攻撃パターンは県内で一歩抜けた存在である。
 神村学園がいなかった春を制した鹿児島城西高は初の甲子園出場を狙う。エース左腕の中村正利は、県大会まで背番号10だったが、成長を見せ九州大会で背番号1を奪取。ゆったりしたフォームからキレのある直球が持ち味の好投手だ。
 伝統校の鹿児島商高が復活を目指す。エースの福永翼は、5月の招待試合で横浜高(神奈川)を相手に好投を見せた。好投手・江口昌太を擁する鹿児島工高鹿児島実高樟南高の伝統校も巻き返しを狙う。

沖縄尚学高が本命も混戦模様=沖縄

 沖縄大会は一足早く16日にスタートした。混戦模様だが、優勝候補の本命は第1シードの沖縄尚学高。昨秋は不祥事で出場辞退したが、この春は見事に優勝。九州大会では、ベスト4まで進出した。チームの中心はエースの山田義貴。抜群の制球力が武器で、九州大会準々決勝では、選抜大会出場の九州学院打線を無四球で完封した。山田の投球を引き出しているのが、捕手の上原勇人。バックも堅い守りでエースを支える。
 2年ぶりの出場を狙う興南高は春準優勝。高良一輝、高良尚武の投手陣など今年の3年生は1年生の時に夏の全国優勝を体感した選手たち。2年生右腕の花城凪都も成長を見せている。
 昨夏、秋と優勝した糸満高は、今春まさかの初戦敗退を喫したが、17日に行われた1回戦を快勝し、順当に2回戦へ駒を進めた。シード校の浦添工高は、沖縄屈指のスラッガー・手登根祥を擁し24日に初戦を迎える。投手としても出番があるか。そのほか、沖縄水産高嘉手納高知念高美里高なども力がある。

<了>

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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