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際立ったドイツの好調ぶり
ユーロ2012 グループリーグ総括

「守ってカウンター」を徹底したチェコ

「守ってカウンター」を徹底したチェコは初戦の大敗から立ち直り、首位でグループリーグを突破した
「守ってカウンター」を徹底したチェコは初戦の大敗から立ち直り、首位でグループリーグを突破した【Getty Images】

 ユーロ(欧州選手権)2012もグループリーグが終了。ベスト8が出そろって、大会はいよいよ佳境を迎えることとなる。


 ポーランドとウクライナの共同開催となった今大会。両国を行き来しながら観戦するのはかなり難しいので、グループステージの段階ではずっとポーランドに滞在して、グループAとグループCの試合を観戦した。そこで今回は、両グループの戦いを中心にグループリーグを振り返ってみたい。


 グループAはちょっと日本ではなじみの少ない東欧圏のチームの争いで、グループBとは別の意味での「死のグループ」となったが、初戦でチェコに大勝し、それまで首位を走っていたロシアが、それまで最下位に低迷していたギリシャに敗れて姿を消した。また、開催国のポーランドも準々決勝進出を狙ってチェコ相手に猛攻を仕掛けたものの敗退。最終日の大どんでん返しが象徴するような大混戦だった。


 トップ通過となったチェコは、初戦でロシアに1−4と大敗を喫したものの、そこでチームが崩壊せず、徹底を図ることによって見事に立て直しに成功した。たとえば、右サイドバックのテオドル・ゲブレセラシエ。本来は攻撃好きの選手であるが、その後の試合では攻撃参加を自重。「まず、守ってカウンター」という戦いが徹底できたのだ。


 その象徴が最終節のポーランド戦。立ち上がりに猛攻を仕掛けてきたポーランドのサイド攻撃を両サイドが辛抱強く、ぎりぎりのところでしのぎ切り、後半になってある程度中盤でボールを持てるようになると、ようやく両サイドバックも攻め上がるようになる。そして、両ワイドアタッカーの右ペトル・イラチェク、左バツラフ・ピラルと絡んでカウンターを仕掛け、狙い通りの形からイラチェクが決めた。


 問題は、アキレスけんを痛めたトーマス・ロシツキーの状態だが、彼が不在となったことによって、カウンターの意識がより徹底されている面もあり、ポルトガルも決して侮れない相手となろう。やはり、ここでもクリスティアーノ・ロナウドの突破を、右サイドバックのゲブレセラシエがどこまで耐えるか、そして、単に守るだけでなく、「守備をしない」C・ロナウドの虚を突いて、彼のサイドからカウンターを仕掛けられると面白い。

ストライカーに問題を抱えるイタリア

 グループCでは、いつものように大勢のサポーターが詰め掛けたアイルランドがほとんど何も見せられないまま3戦全敗で敗退した。力の拮抗(きっこう)したチームが多いユーロでは、2点以上の点差がつく試合はほとんどない。グループリーグ全24試合のうち、2点差以上はわずか6試合だったが、そのうちの3つがアイルランドの試合だった。予選の組み分けに恵まれて出場を決めたアイルランドだったが、年齢層も高く、相変わらずロビー・キーンやダミアン・ダフ頼みで、全く良いところなく敗退した。


 このグループで良いところも、悪いところもはっきり出たのがイタリアだった。


 戦術家チェーザレ・プランデッリ監督は、3バックで戦いを挑んできた。現在、イタリアでは優勝したユベントスや古豪復活のナポリなど、3バックで戦うチームが増えている。一部では「ガラパゴス化」などとやゆする向きもあるが、プランデッリ監督はそのトレンドをうまくナショナルチームに取り入れた。中盤のアンドレア・ピルロからのパスが全体を動かすのはもちろんだが、今回のイタリアは3バックのセンターに本来MFであるダニエレ・デ・ロッシを置き、ピルロとデ・ロッシの2人から左右のアタッカー(クリスティアン・マッジョとクラウディオ・マルキージオ)に長いパスが供給された。選手の距離感も良く、まるでクラブチームのような統制の取れた攻撃を仕掛けたのだが、問題はストライカーだった。


 ファーストチョイスはマリオ・バロテッリとアントニオ・カッサーノだった。バロテッリは、意外にもチームのために献身的に働いていたが、逆に彼の魅力であるやんちゃさに欠け、シュートを打たずにパスを選択して失敗するなど、全く怖さがない状態。カッサーノやアントニオ・ディ・ナターレといったベテランも、なかなか点を決められず、ゲームを完全にコントロールしていたクロアチア戦も引き分けに持ち込まれた。


 すると、最終のアイルランド戦でプランデッリ監督は4バック(4−4−2)に変更する。この変更も、なかなかかみ合わず、猛攻を仕掛けるものの2点止まりで成功とは言えない。今後、プランデッリ監督がどちらのシステムを採用するのか注目したい。将来を考えれば、3バックを突き詰めたいところなのだろうが、やはり一応の結果を出した4バックで戦うのであろうか?

後藤健生
後藤健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、観戦試合数はまもなく4800。EURO(欧州選手権)は1980年イタリア大会を初めて観戦。今回で7回目。ポーランドに初めて行ったのは、74年の西ドイツW杯のとき。ソ連経由でワルシャワに立ち寄ってから西ドイツ(当時)に入った。

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