被災地を支え、被災地に支えられるベガルタ仙台=東北の「光」から「シンボル」へ
堅守速攻から攻撃力を向上させ、首位を快走するベガルタ
これで勝ち点30に乗せてベガルタは首位を維持。昨シーズンは「堅守速攻」が持ち味の守備的なサッカーだった。しかし、今シーズンはスピードのあるセンターバック上本大海の獲得により、ある程度ディフェンスラインを高く上げても、相手のカウンター攻撃に対してリスクマネジメントが取れるようになったため、攻撃に人数を割けるようになった。また、新外国人FWウイルソンの獲得もあり、攻撃力が大きく向上。チーム内の競争激化で選手のモチベーションも向上し、どういうメンバーで試合に臨んでもチーム力が大きく落ちず、選手層も厚くなった。
1年3カ月前、震災に襲われた街のクラブは、震災に負けずに地道に少しずつ力を付け、ついにJ1優勝争いを引っ張ろうとしている。現在のユアスタには震災前以上の熱狂、盛り上がりが見られている。
シーズン中に復興ボランティア活動も
クラブは昨シーズンより「宮城・東北Dream Project」と題し、スポンサー企業やサポーターから出資を募り、東北の子どもたちを試合に招待している。被災地からユアスタまでバスの送迎を行い、多くのお土産や選手たちとふれあえるイベント付きである。札幌戦では宮城県松島町・東松島市から90名を招待した。招待された子どもたちも次々とゴールが決まる素晴らしい試合を心ゆくまで楽しんだことだろう。
実際にプレーをする選手や監督、スタッフも昨シーズンに引き続き今シーズンも継続的な支援活動を行っている。リーグ戦が中断中の6月1日には、今シーズン初めて監督、スタッフ、選手全員で宮城県七ヶ浜町を訪れた。町内のグラウンドで地元の保育園児とふれあい、その後は少人数のグループに分かれて、仮設住宅を訪れてお年寄りの方々らとふれあった。
クラブフロントも、監督、スタッフも、選手たちも、決して震災を風化させず、被災地に元気を与えるため支援を続けているのだ。