国民の期待に応えたポーランドの勇気に拍手=ポーランド 1−1 ロシア
国民感情が刺激される戦い
ロシアに先制点を許す苦しい展開だったが、ポーランドはブラシュチコフスキ(右)の同点ゴールで引き分けに持ち込んだ 【Getty Images】
ポーランドというかつての東欧の大国は、18世紀末に新興のロシアやプロイセン、オーストリアに分割され、国土を失った歴史を持つ。そして、第2次世界大戦後にはソ連の支配下に置かれた記憶がある。
今は、「普通の隣国」となった両国だが、この重要な大会で直接対決したのである。国民感情が刺激されないわけはない。ロシア・サポーターが喚声をあげる度に、ポーランド人たちの鋭い口笛にかき消される……。そんな雰囲気の中で、両国の選手たちが熱い気持ちを持って試合に臨んだことは当然のことだ。
主導権を握ったのはロシア
技術的に正確でしっかりパスをつないでくるのはソ連時代からのロシアの伝統だ。一方のポーランドは、いつの時代にも鋭いカウンターアタックで戦ってきた。
フォーメーションやシステムは時代とともに変わっても、そういう各国のサッカーの特徴というものは、そう簡単に変化するものではない。
フルパワーで攻め合った20分間の時間が経過した後は、当然のようにポゼッションでロシアが上回り、ポーランドがカウンターで対抗する流れになり、ロシアが主導権を握って試合が進んだ。
中盤のデニソフ、ジリアノフ、シロコフがしっかりとゲームを作り、両サイドのアルシャビンとジャゴエフが崩して、トップのケルジャコフに合わせる。機械のように正確な攻撃だった。そして、ロシアの攻撃に対して、ポーランドのセンターバックのペルキスとバシレフスキが対応できず、いや、ケルジャコフに翻弄(ほんろう)されるような場面すら生まれる。
37分には、ロシアに待ちに待った先制ゴールが生まれた。アルシャビンが左から入れたFKをシロコフが頭に当てて角度を変え、最後方から走りこんできたジャゴエフが頭で合わせたボールがポーランドゴールに飛び込んだ。シロコフに対してしっかりと競りに行かずにヘディングを許したバイレフスキと、ジャゴエフに付いて行かなかったピシュチェクのミスだったか。