スタートの出遅れが響いた可夢偉、ロズベルグが7年目で初優勝を飾る=F1中国GP

吉田知弘

可夢偉、ファステストラップ記録も悔やまれる10位

スタートでの出遅れが響いてしまった可夢偉(写真右下=白のクルマ) 【写真:ザウバー】

 前回マレーシアGPでは、マシントラブルなどの不運もあった可夢偉だったが、今回の中国GPでは予選から絶好調。自己最高位となる3番グリッドを手に入れた。自身初の表彰台、そして日本人初優勝に期待がかかった決勝レースだったが、結果は不完全燃焼の10位に終わった。

 40周目には1分39秒960と決勝レース中の最速ラップタイム「ファステストラップ」を記録した。ちなみに日本人ドライバーでは1989年オーストラリアGPで中嶋悟が記録して以来、2人目となる。

 そうした持ち前の速さを見せた一方で、順位を落としたのはなぜなのか。それは、スタートでの後退に起因するだろう。

 今年のザウバーのマシン評価は高いが、やはりマクラーレンやレッドブルといったトップチームに対しては劣ってしまっている部分があるのは事実。一度彼らを先行させてしまうと、再び抜き返すためには、彼ら以上のペースで走り続ける事が必要になるため、現状では難しい状態だ。

 今回彼らの前からスタートできた可夢偉は、スタートも含めてどれだけ後方から迫るライバルたちを食い止められるかが、最大のポイントだった。しかし、可夢偉はスタートで出遅れて一周目で7位に後退。中団グループの中で走る形となり、ペースを上げることができずに前との差を離されてしまった。

次回以降の活躍に期待

 だが、この状態からリカバリーできたことは評価していいだろう。

 後手を踏む展開となった可夢偉はポイント獲得すら危ぶまれたが、2回タイヤ交換作戦を選んでいたキミ・ライコネン(ロータス)、フェリペ・マッサ(フェラーリ)のペースが伸びていないことを迅速に判断して、38周目に3回目のタイヤ交換を行う。
 これで前方がクリアな場所でコース復帰した可夢偉は40周目にファステストラップをたたき出すなど、自分のペースを取り戻し、最終的に彼らの逆転に成功。10位入賞を飾った。

 今回も、期待していた日本のファンにとっては悔やまれる結果となってしまったが、3番手スタートを手に入れたこと、さらにファステストラップを出した事は間違いなくプラス材料と言っていいだろう。課題とされていた予選で結果を出し、一瞬の速さも見せることができた。あとは予選と決勝をうまくそろえることができれば、表彰台獲得は現実的な目標となるはずである。次回以降の活躍に期待したい。

<了>

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著者プロフィール

1984年生まれ。幼少の頃から父の影響でF1に興味を持ち、モータースポーツの魅力を1人でも多くの人に伝えるべく、大学卒業後から本格的に取材・執筆を開始。現在では国内のSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に年間20戦以上を現地で取材し、主にWebメディアにニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載。日本モータースポーツ記者会会員

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