釜石SW・高橋善幸氏が語る「震災からの再生と、動き出した夢」
外国人選手と地域との絆に感動「釜石のために」
釜石への2019年ワールドカップ招致も目指している 【スポーツナビ】
――トップリーグ昇格へのビジョンは?
現在、トップイーストで順位を上げてきているので、昇格に挑戦できるところまでは行ける手応えがあります。ただ、現状では昇格しても定着する力はありません。資金面や、選手の所属会社がバラバラなので練習の条件面でもトップリーグ勢には劣っています。
私のイメージとしては新日鉄の社員が10名、レベルの高いプロ選手が10名、地元のサポート企業で働く選手が10名、地元の高校出身選手が10名で40名のクラブになればと思っています。一企業の部となると業績に左右されるので、複数の企業と地域で支えていく形を進めていきたいと思います。
――外国人選手と地域との心の交流は?
釜石には外国人が少ないですから、珍しさもあってイベントなどに引っ張り出されます。チームとしてはラグビーに集中してもらいたいのですが……(笑)。ただ、彼らも日本で普通に生活しているので地域とのふれ合いはあった方が良いと思い、ある時期から選手の自由にさせました。そうすると、奥さんが近所の付き合いに出て行ったり、子どもたちが近所で遊んだりとつながりができます。そのつながりがあったから、彼らは震災後も残ってくれたんだと思います。
こうした人と人とのつながりに私も感動しました。「釜石のために」と話してくれる彼らと地域に絆ができていたことが、行動につながりました。
――釜石以外の地域から応援で貢献できることは?
クラブのサポーターになってもらえることが一番ありがたいです。釜石は東京から遠くて電車を乗り継いで5時間はかかります。本当は全国のサポーターの方々に会いに全国を回りたいのですが、それも難しい状況です。だからこそ、トップリーグに上がって全国で試合ができるチームになりたいと思います。サポーターのみなさんは私たちの財産。報いるために力をつけたいです。
W杯を釜石で開催するためには、みなさんからも協会にアピールしていただければと思います。2015年ごろに会場が決まると聞いているので、まずはそこまでに環境をつくりたいと思います。釜石市民がW杯に向けて本気になる環境をつくって、被災地は元気だとみなさんに伝えたいと思います。
高橋善幸氏に聞く「あなたにとってラグビーとは」
協力:(公財)日本ラグビーフットボール協会