日本馬に立ちはだかる壁、海外ライバル馬を徹底分析=ドバイWCデー
アルクオーツスプリント:究極の速さくらべを制するのは?
究極の速さ比べに日本からエーシンヴァーゴウが殴りこみ 【スポーツナビ】
今年からGIに昇格した1戦だけに、北半球・南半球の様々な地域から精鋭が参戦してくる。
まずは、1200mのGIII戦だった2年前にこのレースを制している香港調教馬ジョイアンドファン(セン8)。前走、2月5日に行なわれた香港GIチェアマンズスプリント(芝1200m)で、昨年暮れの国際GI香港スプリント(芝1200m)勝ち馬ラッキーナインを退けて優勝。8歳を迎えてなお能力に衰えがないことを実証している。
香港同様、短距離路線の水準が高くて層も厚いオーストラリアから遠征するのが、GIウィンターボトムS(芝1200m)勝ちの実績があるオルテンシア(牝6)だ。
ダッシュ力とスピードにかけては世界一という矜持を持つ北米から参戦するのが、カナダのGIニアークティックS(芝6ハロン)やGIIBCターフスプリント(芝5ハロン)を制しているリーガリーレディ(セン5)。
さらに欧州からは、ロイヤルアスコットのGIキングズスタンドS(芝5ハロン)の昨年の勝ち馬プロヒビット(セン7)、ヨークのGIナンソープS(芝5ハロン)の昨年の勝ち馬マーゴットディド(牝4)と、一昨年の勝ち馬ソウルパワー(セン5)らが参戦してくる。
究極の速さくらべを堪能し、その上でエーシンヴァーゴウが好戦してくれることを期待したい。
UAEダービー:モハメド殿下、吉田勝己氏の所有馬が有力
ゲンテンらより半年生まれが早い、南半球産の3歳にも門戸が開放されているレースで、今年もオーストラリアとアルゼンチンから超一線級が参戦する。
GIコーフィールドギニー(芝1600m)を含めてGI・3勝の実績を誇るのが、オーストラリアから遠征してくるヘルメット(牡3)だ。ドバイの国王シェイク・モハメドの所有馬で、ドバイの後はヨーロッパ移籍を視野に入れている大物だ。
GIアルゼンチン1000ギニー(ダート1600m)、GIアルゼンチンオークス(ダート2000m)の2冠を制しているのがバラダセール(牝3)。こちらは吉田勝己氏の所有馬で、フランスのパスカル・バリー厩舎に移籍しての参戦となっている。
北半球産馬にも、タイトルホルダーが複数いる。
アイルランドのエイダン・オブライエン厩舎所属馬で、昨年秋に北米に遠征してGIBCジュベナイルターフ(芝1600m)を制したロート(牡3)。
この春ドバイで行われた、GIIIUAE2000ギニー(AW1600m)勝ち馬キングレット(牡3)、GIIIUAEオークス(AW1900m)勝ち馬フォールズオブローラ(牝3)、3月10日のスーパーサタデーで行われた前哨戦Lアルバスタキヤ(AW1900m)勝ち馬ミックダーム(牡3)らは、コース経験というアドバンテージを持つ。
ゲンテンにとってはタフな競馬になりそうだが、初体験のAWで馬が化ける能性もあるだけに、期待をもって見守りたいと思う。
ドバイGC:欧州の長距離戦線トップホースが席巻か
欧州勢は強力だが、マカニビスティーは底知れぬスタミナで番狂わせを起こしたい 【スポーツナビ】
この競走条件だけに、ヨーロッパの芝長距離路線で好成績を残している馬が複数参戦してくる。
レーティング最上位は、GIIグッドウッドC(芝16ハロン)など3重賞を制している他、昨年のGIアスコットGC(芝20ハロン)2着、シーズン末のGIIIブリティッシュチャンピオンズ・ロングディスタンスC(芝16ハロン)2着などの成績を残している、ゴドルフィンのオピニオンポール(牡6)だ。
レーティング2位以下も拮抗した勢力分布となっている。
昨年秋、凱旋門賞ウィークのGIカドラン賞(芝4000m)を制したカスバブリス(セン10歳)。昨年のGIII独セントレジャー(芝2800m)勝ち馬で、3月1日にメイダンで行われたGIIIナドアシバトロフィー(芝2810m)を制したフォックスハント(セン5)。ロイヤルアスコットのGIIIクイーンズヴァーズ(芝16ハロン)を制した実績に加え、直前にスーパーサタデーのGIIドバイシティオブオゴールド(芝2410m)を制したミケイルグリンカ(牡5)の3頭が、レーティングの序列で言うと、オピニオンポールからわずか1ポンド下で、横並びの2位となっている。
さらに2ポンド下のレーティング第5位に、一昨年のGIカナディアン国際(芝12ハロン)勝ち馬で、その後ジャパンCに来日したことで日本のファンにもお馴染みのジョシュアツリー(牡5)と、昨年のドバイ開催はGIIUAEダービー(AW1900m)に出走して4着だったザンザマー(牡4)の2頭が横並びとなっている。
レーティング的には低評価のマカニビスティーだが、底知れぬスタミナを誇る馬だけに、番狂わせも期待できそうである。
(text by 合田直弘)