バレーボール界に疑問を投げ掛ける堺ブレイザーズ
地域密着型クラブとしての挑戦(1)

熱狂的な堺ブレイザーズのファン

試合を見に来てもらうためには「まずは勝つこと」と語るエースの石島
試合を見に来てもらうためには「まずは勝つこと」と語るエースの石島【写真:AZUL/アフロ】

 3月10日、V・プレミアリーグ男子2011−12シーズン最後となる堺ブレイザーズのホームゲームの初戦が、大阪・堺市にある新日鉄体育館にて開催された。前週、JTサンダーズに勝ってセミファイナルラウンド進出を決めた堺だったが、この日はパナソニックパンサーズを相手に苦戦。終始、相手のペースで試合が進み、終わってみればストレートでの完敗だった。「こういう情けない試合をしては絶対にいけない」と試合後、エースの石島雄介は肩を落とした。


 収容人数は1500名ながら、そのスタンドはチームカラーである黄色に染まり、立ち見客も出た。熱気であふれ返った体育館には、ブレイザーズが得点を挙げるたびに応援グッズであるハリセンの音が響き、ファインプレーが出るとあちらこちらから自然と歓声が上がる。ファンが1シーズンに8試合しかないホームゲーム(うち2試合は第二フランチャイズ)を心待ちにし、楽しんでいる様子がひしひしと伝わってくる。


 東レアローズ、パナソニックパンサーズ、サントリーサンバーズといった有名企業のバレーボール部がリーグ戦の上位に名を連ねる中、堺ブレイザーズはVプレミアリーグに所属するチームの中でも稀(まれ)な、母体企業を持たない地域密着型スポーツクラブである。自チームの主催で行われるホームゲームの入場料は、クラブにとって大きな収入源だ。最終節のパナソニック戦は、だからこそ勝ちたい一戦だった。敗れた試合の後、石島に「お客様に試合を見に来てもらうために必要なことは何か」と尋ねると、間髪入れずにこんな答えが返ってきた。


「まずは勝つこと、とにかく勝つことです。でも、もしそれがかなわないときには、最後まで諦めず、勝ちたいという思いを全面に出してプレーすることです。でないと、入場料を払って見に来てくださった人は納得しないし、また次も来ようと思ってもらえないと思います」

地域密着型スポーツクラブとしての再出発

 ホームゲームの入場料収入やサポーターズクラブの会費が選手の給与や移動費に変わり、チームを支えている。そんな現状を、ブレイザーズの中でも特に強く意識しているのが、この石島だろう。石島は全日本の試合の際は必ず「Blazers」というロゴの入った首飾りをつけている。

「ブレイザーズの代表としてここにいるんだという思いと、少しでもメディアを通じてブレイザーズの名前をピーアールできればと思って……」

 今でこそ改善されたが、石島が初めて代表入りを果たした06年当時、全日本の試合中継では選手の所属チームを紹介する習慣がなかったからだ。


 そもそも堺ブレイザーズの誕生は2000年にさかのぼる。ブレイザーズの母体であった企業、新日鉄は折からの業績悪化に伴い、すべてのスポーツ部に対して活動の見直しを通達した。休部とするか、それとも地域密着型スポーツクラブとして自立するかの選択を迫られる中、男子バレーボール部は名称を堺ブレイザーズとし、堺市を拠点とするクラブチームへと生まれ変わった。


 一昨年、クラブ創立10周年を迎えたが、ここまでの道のりは決して平たんではなかったと、発足時、陣頭指揮を執ったブレイザーズスポーツクラブの専務取締役の小田勝美は振り返る。

「初めは3〜4年でつぶれるんやないかと思っていました。そんなに簡単にお金は集まらんと思っていましたからね。まず、強くないとスポンサーになろうという会社もないでしょう」


 今シーズンも含め、5シーズン連続でセミファイナルに進出。昨年度は東日本大震災により途中でリーグが打ち切りとなったが、その時点での順位を考慮し、暫定王者にも輝いた。強さという点だけでいえば、協賛企業にアピールするために十分な成績を残しているように見える。しかし、1シーズンにわずか28という試合数(今シーズンは21試合)や、Vリーグ全体のメディアへの露出の少なさが足かせとなり、スポンサー獲得にはいまだに苦労しているのが現状だ。

市川忍

フリーランスライター/「Number」(文藝春秋)、「Sportiva」(集英社)などで執筆。プロ野球、男子バレーボールを中心に活動中。

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