世界を驚かせた“伏兵”とソチを見据えるエース、それぞれの戦い=フィギュア四大陸選手権・男子シングル
期待されたフリーではそろって崩れる
4回転−3回転を決めて高橋大輔の上に立った無良崇人。フリーではその位置がプレッシャーになった 【Getty Images】
町田が乱れた一番の原因は、久しぶりにフリーで4回転を入れたことだという。
「全日本まで4回転を抜く試合が多くて、でも今回はやっぱり入れたくて……。4回転、練習での調子は良かったけれど、本番で転んでしまって動揺しましたね。それで中盤から、かなりきつくなった。最後まで気を抜かずに滑ろうとは思ったけれど、結果こういうことになってしまって。昨日のいい気持ちを引きずったままではいけないので、フリーは新たな気持ちで臨むことができたはずなんですが……」(町田)
一方無良は、ショート2位という思わぬ順位が、過度の緊張につながったという。
「今シーズン、ショートとフリーの両方うまくいった試合がなくて……。今回はショートでいい演技ができたぶん、『フリーはできないんじゃないか』って変な不安、怖い気持ちがすごく大きかったんです。4回転も、朝の練習でも6分練習でも『やばいかな』と思った。いつもならそこで修正の仕方を自分で見つけられるけれど、今日は落ち着かず、どうしたらいいかまったく浮かんでこなくて……。滑りだしてからもどうしよう、どうしよう、と真っ白になってしまった。
悔しいですね。経験も足りないし、精神的な弱さもそのまま出てしまいました。技術的には上達しているのに失敗してしまうのは、身体よりも心が弱い。今回のようにうまくいけば表彰台圏内、という試合はジュニア以来ですし、すごくいい経験になりました。こんな時でもいかに強くいられるかが、来シーズンに向けて克服すべき課題かな」