都市対抗で躍動したドラ1、完全試合男、専門学校生=第82回都市対抗野球大会総括

島尻譲

東日本大震災の影響を受けた“異例”の都市対抗

涙を流して喜ぶJR東日本の斎藤達則主将。右ひざのケガで欠場していた 【島尻譲】

 社会人野球シーンに限ったことではないが、今年は異例づくしのシーズンとなった。東日本大震災の影響はあまりにも大きかったが、都市対抗は「こんな時だからこそ心をひとつに、みんなを勇気づけてほしい」という声に後押しされて、開催されることが決定した。そして、電力事情などを考慮して戦いの舞台を東京ドームから京セラドームへ。会期は通常の夏から秋へと変更されたのである。

 例年とは異なる背景の都市対抗は10月22日から開幕。厳しい各地区予選を勝ち抜いて来た全32チームが一戦必勝のトーナメントに臨んだ。そして、27日のプロ野球ドラフトで指名された選手たちも活躍を見せた。

決勝戦は西武のドラフト1位と2位の対決

西武からドラフト1位指名を受けたJR東日本・十亀 【島尻譲】

 1日に行われた決勝戦は長い大会の歴史で初めてとなるNTT東日本とJR東日本の東京都代表同士の対戦。
 東都大学リーグ時代から凌ぎを削り、また、今ドラフトで埼玉西武から1位指名を受けた十亀剣(JR東日本)と2位指名の小石博孝(NTT東日本)の両先発で幕を開けた。

西武からドラフト2位指名を受けたNTT東日本・小石 【島尻譲】

 2回に先制したNTT東日本は、十亀を3回途中でマウンドから引きずり降ろす。一方、小石は6回終了まで打者の内角を厳しく突いて4死球こそ与えていたが、JR東日本打線から11個の三振を奪い、しかも無安打に抑えていた。だが、7回裏、4番・松本晃にこの試合初めて許した安打がまさかの同点ソロ。決勝戦のマウンドを存分に楽しんでいた小石もこのイニングで降板となる。
 栄光の黒獅子旗を懸けた決戦は1対1のスコアで延長戦に突入。そして、延長11回裏、高卒ルーキー・石岡諒太が左翼線二塁打を放ったあと、4番・松本の打球は左中間フェンスを直撃する劇的なサヨナラ打に。2回戦で主将・斎藤達則を右ひざのケガで欠くというアクシデントこそあったが、チーム一丸となったJR東日本が初の全国制覇を成し遂げた。

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著者プロフィール

 1973年生まれ。東京都出身。立教高−関西学院大。高校、大学では野球部に所属した。卒業後、サラリーマン、野球評論家・金村義明氏のマネージャーを経て、スポーツライターに転身。また、「J SPORTS」の全日本大学野球選手権の解説を務め、著書に『ベースボールアゲイン』(長崎出版)がある。

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