UFC初の日本人王者へ、岡見が史上最強王者に挑む

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UFC初の日本人王者へ、岡見が最強王者アンデウソンに挑む 【(c)NAOKI FUKUDA】

 8月27日(日本時間28日、WOWOWで午前10時から生中継)にブラジルのリオ・デジャネイロで行なわれるUFC134。メインはUFCミドル級の“絶対王者”と呼ばれるアンデウソン・シウバの防衛戦である。挑戦するのは“金網の日本人エース”岡見勇信――“日本総合格闘技界のパイオニア”宇野薫や現DREAMフェザー級王者の“喧嘩番長”高谷裕之らを輩出した名門、和術慧舟會に所属し、UFC戦績10勝2敗という日本人として最高の勝ち星を記録中の男だ。

 柔道をバックグラウンドとする岡見は、身長188cmという日本人離れした体格を武器に、投げやタックルで相手を倒してパンチを叩きこむ“グラウンド&パウンド”戦法を得意とする。UFC参戦後は特にフィジカル・トレーニングにも力を入れており、通常体重を100kg前後まで上げて試合直前にミドル級リミットの84kgまで落とすという手法で、マッチョな欧米ファイターにも力負けせず勝ち越してきた。これまでに元ミドル級王者エヴァン・ターナーをヒザ蹴りでTKOし、アブダビ・コンバット大会(組み技世界一決定戦)優勝者ディーン・リスターにも勝利し、王者アンデウソンのチームメートでもあるレスリング出身の猛者マーク・ムニョスや、パンクラス元ミドル級王者ネイサン・マーコートらも破っている。

すべてが一撃必殺の凶器、今のアンデウソンはほとんど死角がない

打撃全てが一撃必殺に加え柔術も黒帯、今のアンデウソンに死角はない? 【Zuffa LLC via Getty Images】

 だが王者アンデウソンの強さは尋常ではない。UFCのデイナ・ホワイト社長が「史上最高の総合格闘家だ」と太鼓判を押す通り、驚くべき記録を誇っているのだ。
 06年にUFCに参戦して以来13連勝中で、これはUFC最多連勝記録だし、13勝のうち判定まで行ったのはわずか2試合。ほとんどの試合を打撃によるKOで勝利し、2試合は絞め技で一本勝ちしている。

 身長は岡見と同じ188cmだが“ザ・スパイダー”というニックネームの通りクモのように手足が長く、そこから必殺のパンチや蹴りを放つのである。
 その上、動体視力にもすぐれている。一時ライトヘビー級に階級を上げて元UFCライトヘビー級王者のフォーレスト・グリフィン(クイントン・“ランペイジ”・ジャクソンや元PRIDE王者ショーグンを破った男)と戦ったときは、フォーレストのパンチをノーガードですべて見切り、たった一発のパンチで元王者をKOしてしまった。

 今年2月にアンデウソンは、やはり元ライトヘビー級王者ビクトー・ベウフォートを前蹴り一撃でKOしている(ビクトーはその後、今月6日のUFC133で秋山成勲をわずか112秒でTKOしている)。
 UFCでタイトルを獲った試合では、当時の王者リッチ・フランクリンをムエタイ式の首相撲からのヒザでKOした。つまりアンデウソンは拳も、蹴りも、ヒジも、ヒザも、すべてが一撃必殺の凶器なのだ。

 PRIDEに参戦していた頃はまだ寝ワザが苦手で、長南亮や高瀬大樹に関節技で仕留められているが、元PRIDEヘビー級王者の “柔術マジシャン”アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラと猛特訓して柔術黒帯を授与され、試合でもダン・ヘンダーソン(元PRIDE二階級王者。この7月30日に“皇帝”エメリヤーエンコ・ヒョードルをTKOした選手)にチョーク・スリーパーで一本勝ち、岡見を破ったチェール・サネンにも三角締めで一本勝ちするほど寝ワザの能力も向上させている。
 はっきり言って、今のアンデウソンは、ほとんど死角のない選手ということができるだろう。

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