香川、内田、長谷部ら明暗分かれたプレシーズン=ドイツでの戦いに挑む日本人選手、それぞれの立ち位置
高まりつつある香川とギュンドガンの連係
新加入ギュンドガンとの連係も徐々に高まっており、香川(写真)にとっては良い流れで開幕を迎えられそうだ 【Bongarts/Getty Images】
王者ドルトムントの香川真司はアジアカップで負傷する前、つまり昨シーズンの前半戦と同じようにトップ下の位置でプレーを見せている。昨季のチームの心臓として中盤の底から攻撃を操っていたシャヒンがレアル・マドリーへ移籍したために、チームは新たな攻撃の形を模索している。代わりに入るギュンドガンは前任者とは異なり、パスをさばくだけではなく、自らも積極的に前へと飛び出していく選手だ。クロップ監督はシャヒンの抜けた穴を、ギュンドガンに埋めさせるのではなく、中盤の5人のMFの連動によって埋めようとしている。
もっとも、すんなりと課題が解消されるわけでもない。7月23日に行われたシャルケとのドイツスーパーカップ(PK戦でシャルケが勝利)のあと、香川はギュンドガンとの連係について、「ちょっとまだ、タイミングがつかめていない部分がある」と話していた。
翌週に行われたドイツカップのサントハウゼン戦、香川はハーフタイムにギュンドガンと話をしている。
「ギュンドガンは前半から高い位置をとってきて、それは良いことでもあるんだけど、自分と(ポジションが)かぶっている場面も何回かあったので。ちょっと前に来すぎていて、自分のスペースがなかったから、タイミングを見てくれというふうに言ったら、本人も分かっていた」
後半から、2人の関係は改善されていく。後半11分には、2人の関係が良くなったことを象徴するシーンがあった。中盤のやや低い位置でボールを持った香川が、ペナルティーエリア付近まで上がっていたギュンドガンにパスを出した。香川は勢いを止めずに、ギュンドガンを追い抜いてペナルティーエリア内へと侵入。そこでギュンドガンからのパスを受けて、最後は右足でゴールネットを揺らしたのだ。香川にとって練習試合も含めて約1カ月ぶりのゴールが、ギュンドガンとのワンツーのパスから生まれたのだ。
「良い形でアシストしてくれた」と香川も語ったシーンで、プレシーズン中から「試合をこなしていくうちに関係は良くなっていく」と言い続けてきたとおりの結果が得られた。「すべてにおいて、まだまだ上がっていけると思う」と香川自身は語っており、5日に行われるハンブルガーSVとの開幕戦に向けて良い流れが生まれつつある。
厳しい状況にも一喜一憂しない内田
「監督も自分のプレーは分かってるんで。去年から一緒にやってるわけだし、自分の調子も上がってくればいいんじゃないかな」
ライバルのヘーガーについては、「良い選手」だと認めながらも、「当初、思ってた以上にヘーガーは良い選手なのか」と記者に問われたときは、表情を変えずにこう言い放った。
「いや、それはないかな」
現時点では控えに甘んじており、状況が芳しいとは言えないが、一喜一憂するさまを見せないのは、不動の右サイドバックとして昨季のチャンピオンズリーグ(CL)でベスト4に進出した当時から変わらないものだ。
「危機感はあるけど、焦りはないかな。まあ、危機感は常にあるものだから」
内田はこれからも腐ることなく、アピールを続けていくつもりだ。