中島裕之から浅村栄斗へ 受け継がれる獅子のDNA

埼玉西武ライオンズ

「最高の環境があった」 中島裕之というスターが誕生するまで

笑顔を見せる浅村(左)と中島。浅村が新人のころからともに自主トレを行っている 【西武ライオンズ】

「ライオンズのスター選手」と言えば……、という質問に満場一致で名前を挙げられる選手。それが中島裕之だ。

 いまやチームだけでなく日本を代表する内野手になった中島。「いろいろな国際試合とか、日本を代表するような試合に行かせてもらってるから、チームに帰ってきたら手本にならないとね」とチームを引っ張る自覚も責任も十分だ。

 もちろん、「ライオンズを引っ張らなければいけない選手」と自覚している中島も、最初からそうだったわけではない。「試合に出始めのころは、下位の打順でただただ勢いだけで振り回してた」と言うように、チームではなく、あくまでも自分らしさにこだわった。
「当時は若い選手が何も考えずに好きなように野球をやってても、上の先輩たちが全部考えてやってくれてた。そんな環境があったから自分はここまでこれた」
 中島を育てるための最高の環境がそこにあったのだ。

スター候補・浅村の覚醒 中島の若手への思い

 今季、ライオンズでブレーク中の20歳の新生・浅村栄斗。自身の目標であった開幕スタメンを果たし、開幕直後に不調だったチームの中で一人、気を吐き一躍脚光を浴びた。「新人の頃から声をかけてもらってオフの自主トレを一緒にやらせてもらってる」という中島を目標に、日々成長を遂げる次世代ライオンズのスター候補生だ。

 そんな浅村の台頭に中島は自らの過去を重ねているのかもしれない。
「若い選手には、今は好きなようにやってもらって、僕らがチームバッティングとか状況を見てやればいい。もう少し年をとったり、試合に出続けるようになれば、今度は自分らでやれるようになるから」
 中島は、若手選手が伸び伸びと野球ができる環境を率先してつくっている。自らが成長を遂げた時と同じように。

最高の“教科書”に学んで壁を乗り越える

 浅村は今、壁に直面している。一時期リーグトップに立っていた打率は5月中盤から急降下。1軍でフルに戦う緊張感なのか、疲れはピークに達し、体重も3、4キロ落ちたという。中島の言葉を伝え聞くと、「言われなくても、僕は何も考えてないですよ(笑)」と自虐気味に話したが、「今は何も気にせず、自分のスタイルを貫きたい」と力強く語った。このポジティブな雰囲気も、中島の若い時と重なる。

 今まさに飛躍を遂げようとしている20歳の新星。より高みに行くためには乗り越えなくてはならない困難もある。しかし、浅村は恵まれているかもしれない。ライオンズには壁を乗り越えてきた先輩という最高の“教科書”があるのだ。

<了>

インタビュー完全版はマッチカードプログラムで!

 浅村選手、中島選手インタビュー完全版はマッチカードプログラム「Lism」で掲載。浅村選手インタビューは6月9日(木)、10日(金)広島戦号、中島選手インタビューは6月11日(土)、12日(日)阪神戦号。
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