もろさを克服、自分の演技ができる選手へ=フィギュア・安藤美姫インタビュー

青嶋ひろの

練習ではさらなるジャンプの工夫も

世界選手権で2度目の優勝を果たした安藤(中央)。オフシーズンも多忙な日々が続く 【坂本清】

――精神的な安定を得て、今後はジャンプへの挑戦も続けていきたいとか。練習では、トリプル−トリプル−トリプルの連続3回転にトライしていると聞きました

 ルッツ−ループ−ループの3−3−3……あくまでエクササイズとして、ですね。試合では絶対にやらないですよ(笑)。今のルールでは、リスクの高いジャンプにトライしても、回転不足だったり質が悪かったりしたら、マイナスがついてしまう。やはりきちんと自分のできるものの完成度を高めて、加点のつくジャンプを降りた方が、演技全体の印象も上がります。トリプル−トリプルにトライしないことが多かった今シーズンの評価を見ても分かることですね。でもやっぱり今後……またトリプル−トリプルはきちんと入れられるように練習して、試合で跳んでみたい。そのために、ひとつ難易度の高いトリプル−トリプル−トリプルを練習すれば、トリプル−トリプルも感覚的に難しくなくなるのではないかな、と。同じように、今回は力んで失敗してしまったダブルアクセル−トリプルトウ。自分はトウループがすごく苦手で、まだアクセル−トウはプログラム後半に跳ぶにはリスクの高いジャンプなんです。それをクリーンに入れるために、すべてのジャンプのセカンドにトリプルトウをつける練習をしたりも……。練習ではいろいろな工夫をしていきたいと思っています。

――プログラム面も、技術面も、さらに磨いていくオフシーズン。そのなかでアイスティショーも続いて、大忙しですね。

 はい、先日のサンクトペテルブルク、バンクーバー。この後も日本、韓国とスケジュールに入っています。今、フィギュアスケート界では、チャリティー的な日本を応援するショーがすごくたくさん、世界中で企画されているんですよ。そんな海外のみなさんの気持ちもうれしいですし、世界のスケーターたちと一緒に、各国で日本のことを伝えて、もっともっと日本のためのヘルプになれればいいな、と思っています。本当は日本でのショーにももっと出たかったんですが、日本では小塚選手はじめ皆さんががんばってくれているので、じゃあ、自分は海外担当で(笑)。私が出演することで、海外の皆さんにもっと日本の大変さを分かってもらえたら、また少し力になれるかな。これから先も、各地のショーでたくさんの人に会って、スケートを滑って、皆さんにさまざまな思いを伝えていけたら、と思っています。

<了>

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著者プロフィール

静岡県浜松市出身、フリーライター。02年よりフィギュアスケートを取材。昨シーズンは『フィギュアスケート 2011─2012シーズン オフィシャルガイドブック』(朝日新聞出版)、『日本女子フィギュアスケートファンブック2012』(扶桑社)、『日本男子フィギュアスケートファンブックCutting Edge2012』(スキージャーナル)などに執筆。著書に『バンクーバー五輪フィギュアスケート男子日本代表リポート 最強男子。』(朝日新聞出版)、『浅田真央物語』(角川書店)などがある

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