開幕から1カ月、今年のMLBはワイルドな展開

出村義和

大本命のレッドソックスが開幕6連敗

大本命のレッドソックスは6連敗スタート。松坂(写真)ら投手陣が復調し挽回してきた 【Getty Images】

 3月31日(現地時間)の開幕から約1カ月。最近では記憶にないようなワイルドな展開が続いている。何といっても、驚かせたのは大本命レッドソックスの、球団史上66年ぶりの不名誉記録となる開幕6連敗だ。開幕3連戦でリーグ屈指といわれた投手陣が、イアン・キンスラーが放った史上初の開幕2試合連続先頭打者本塁打をはじめ、レンジャーズ打線に合わせて11ホーマーを浴びたのが響いた。
 しかし、その後は2試合連続KO負けしていた松坂大輔の復活も大きな要素となり、先発投手陣が本来の実力を発揮して、借金3まで挽回(ばんかい)している。

 同じ開幕6連敗を喫したレイズも若手投手陣の踏ん張り、1番打者に抜擢(ばってき)されてチームに活力を与えるサム・フルドの大ブレークもあって、その後は12勝5敗として勝率5割を超えた。
 逆に、開幕6連勝のレンジャーズは、主砲ジョシュ・ハミルトンの故障欠場とともにペースダウン。マーク・トランボ、ハンク・コンガーといった抜擢した新人のパワーが原動力となり上昇したエンゼルスに、一時首位を明け渡す事態に陥った。従って、アメリカンリーグは混戦模様。

マリナーズに剛腕の新人投手が登場

 そして、その展開に一段と拍車をかけそうなのが最下位候補といわれ、実際その通りになっているマリナーズの存在だ。開幕ローテーション入りした21歳のマイケル・ピネダが剛球と新人離れした落ち着き払ったプレートさばきで早くも3勝をマーク。サイ・ヤング賞フェリックス・ヘルナンデスとの両輪が確立され、打線の援護が活発になれば、4チームの差は格段に縮まる。

 すでに大混戦になっているのは、中地区だ。ジョー・マウアーや西岡剛ら主力の故障で低迷している本命のツインズや、打力不振のホワイトソックスを尻目に、この数年低迷していたインディアンス、長い眠りについていたロイヤルズが復活の兆しをみせているからだ。インディアンスは精彩を欠いていたトラビス・ハフナーが打線を引っ張り、投手陣ではジャスティン・マスターソンが無傷の5連勝で大黒柱にのし上がっている。ロイヤルズでは期待の星といわれながら裏切り続けてきたアレックス・ゴードンが素質を開花させようとしている。

 ナショナルリーグでは、黄金期のフィリーズがチェイス・アトリーら主力に故障者が出ているものの、順調に勝利を積み重ねているが、ジョシュ・ジョンソン中心の投手陣を誇るマーリンズが手ごわい相手になりそうだ。
 中地区は首位カージナルスから最下位アストロズまで4ゲーム差、西地区も首位ロッキーズから最下位パドレスまで8ゲーム差でひしめき合い、両リーグとも日替わりで順位が変わる混戦が当分続きそうな気配だ。

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著者プロフィール

スポーツジャーナリスト。長年ニューヨークを拠点にMLBの現場を取材。2005年8月にベースを日本に移し、雑誌、新聞などに執筆。著書に『英語で聞いてみるかベースボール』、『メジャーリーガーズ』他。06年から08年まで、「スカパー!MLBライブ」でワールドシリーズ現地中継を含め、約300試合を解説。09年6月からはJ SPORTSのMLB実況中継の解説を務めている

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