開幕から1カ月、今年のMLBはワイルドな展開

出村義和

新たな勲章が加わったイチロー

アスレチックスとの開幕シリーズでエドガー・マルチネスの持つ球団安打記録を更新したイチロー 【Getty Images】

 4月には快記録も生まれている。ブレーブスの主砲チッパー・ジョーンズはスイッチヒッターとしてエディ・マレーに続いて史上2人目の通算2500安打、1500打点をマーク。ドジャースのアンドレ・イーシアは4月の連続試合安打記録を2試合上回る24試合まで延ばして継続中だ。また、イチローもエドガー・マルチネスの持つ球団安打記録を更新した。

 ヒット量産はイチローだけではないとばかりに打ち続けているのが、カブスの福留孝介だ。日本人では5人目となる1試合5安打を含む8試合連続安打(現地時間23日に代打で四球のみに終わった試合を挟む)を記録、規定打席不足とはいえ4割5分8厘をマークしている。例年、4月には強く、メジャー移籍以来3年連続月間3割を打っているが、あとが続かない。今年こそ、首位打者争いをするぐらいの衝撃的な活躍をみせてもらいたいものだ。

一時代を築いたラミレスが電撃引退

 衝撃といえば、マニー・ラミレス(レイズ)の突然の引退だ。今春のスプリングトレーニング中に実施されたドーピングで陽性であることが判明、2度目の違反になることから100試合の出場停止が課せられる。本人は何も語らずに姿を消してしまったが、そのことが引退の真相といわれている。一時代を築いたスーパースターがこういう形で球界を去っていくのは何ともやるせない気分にさせられる。

 一方で、オーナーであるフランク・マッコート夫妻の離婚問題で経営に暗雲が立ち込めていたドジャースがMLBの監視下に入るという前代未聞の不名誉な出来事も起こった。今後、管理責任者として任命されたトーマス・シーファー前駐日大使が経営状況を洗い直すことになる。状況次第では球団売却という流れになるかもしれない。

 グラウンド内外で繰り広げられるワイルドな展開。今年のメジャーはスリルにあふれたものになりそうだ。

<了>

※成績は現地時間4月27日現在。

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著者プロフィール

スポーツジャーナリスト。長年ニューヨークを拠点にMLBの現場を取材。2005年8月にベースを日本に移し、雑誌、新聞などに執筆。著書に『英語で聞いてみるかベースボール』、『メジャーリーガーズ』他。06年から08年まで、「スカパー!MLBライブ」でワールドシリーズ現地中継を含め、約300試合を解説。09年6月からはJ SPORTSのMLB実況中継の解説を務めている

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