“負けず嫌いな職人”小笠原道大の野球人生

構成:スポーツナビ

持ち味のフルスイングで安打を積み重ね、大記録を達成した巨人・小笠原 【写真は共同】

 巨人の小笠原道大が5日、プロ通算2000本安打を達成した。1996年のドラフト3位で、捕手もできる内野手として日本ハムに入団。1年目には44試合出場で打率2割2分3厘に終わった男は、黙々と努力を続け、プロ15年目に大記録を達成した。2007年に移籍した巨人では、多くの移籍選手が実力を発揮できずにいた環境の中で、見事に重圧に打ち勝った。小笠原の精神力の強さ、打撃の特徴などを野球解説者の大塚光二氏に聞いた。

キャッチャー時代から全力で前に出るタイプ

――小笠原選手が2000本安打を達成しました。選手としての特徴は?

「まず、根性があります。センスというより努力、努力、努力でここまで築き上げた選手ですね。その中で光っているのは体の強さ。体が強いから厳しい練習ができますし、多少のケガがあっても表に出さずにプレーを続けられたと思います」

――大塚さんが現役時代に見た印象は?

「僕の現役時代にはガッツ(小笠原のニックネーム)はキャッチャーでした。キャッチャーとしても全力で前に出てくるタイプでしたね。前に出てくるあまり、打者が空振りしたバットに当たったシーンも見たことがあります。これ、本当の話ですよ(笑)。そんな、おっちょこちょいな部分もありましたけど、とにかく一生懸命な選手でした」

――2000本安打を打つ選手になると思いましたか?

「全っ然、思わなかった。頑張っていたから敵ながら好感を持っていましたけど。ガッツにとって良かったのがビッグバン打線(攻撃力重視だった2000年前後の日本ハム打線)で2番打者に定着したことですね。そこでバントや小技じゃなくて、思い切り振ることができたのが、ガッツの持ち味を出す結果になりましたね」

打撃におけるイチローとの共通点

――小笠原の打撃の特徴は?

「同い年のイチローのようなセンスはありませんが、『振るポイントを知っている』という点では似ています。迷いなく、ボールでもストライクでもフルスイングできるのは、この部分ですね。球道に対してバットを入れることが非常にうまいです」

――キャンプから徹底して基本を繰り返す姿が印象的です

「キャンプでは徹底して左方向に打つ練習を繰り返します。バスターでたくさん、たくさん打って自分のスイングのポイントを知るわけですね。最初は三遊間にゴロを打って、体ができてくるとレフト、左中間へと。本当に根気強く練習します。職人的な雰囲気がありますね」

――巨人は特にマスコミが多いですが、07年からも安定した成績を残しています

「記者の方にとっては取材が難しいかもしれません。『サク越え何本!』と書ける選手ではありませんし、いい意味で頑固ですから。周りがどう言おうが、流されないことはスランプの少なさにつながっていると思います。
 強打者は苦手なコースを徹底的に攻められます。その時にいろいろなコースに対応できるように、自分のスイングをつくり上げるので、苦手なコースが少ないんです」

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