“負けず嫌いな職人”小笠原道大の野球人生
持ち味のフルスイングで安打を積み重ね、大記録を達成した巨人・小笠原 【写真は共同】
キャッチャー時代から全力で前に出るタイプ
「まず、根性があります。センスというより努力、努力、努力でここまで築き上げた選手ですね。その中で光っているのは体の強さ。体が強いから厳しい練習ができますし、多少のケガがあっても表に出さずにプレーを続けられたと思います」
――大塚さんが現役時代に見た印象は?
「僕の現役時代にはガッツ(小笠原のニックネーム)はキャッチャーでした。キャッチャーとしても全力で前に出てくるタイプでしたね。前に出てくるあまり、打者が空振りしたバットに当たったシーンも見たことがあります。これ、本当の話ですよ(笑)。そんな、おっちょこちょいな部分もありましたけど、とにかく一生懸命な選手でした」
――2000本安打を打つ選手になると思いましたか?
「全っ然、思わなかった。頑張っていたから敵ながら好感を持っていましたけど。ガッツにとって良かったのがビッグバン打線(攻撃力重視だった2000年前後の日本ハム打線)で2番打者に定着したことですね。そこでバントや小技じゃなくて、思い切り振ることができたのが、ガッツの持ち味を出す結果になりましたね」
打撃におけるイチローとの共通点
「同い年のイチローのようなセンスはありませんが、『振るポイントを知っている』という点では似ています。迷いなく、ボールでもストライクでもフルスイングできるのは、この部分ですね。球道に対してバットを入れることが非常にうまいです」
――キャンプから徹底して基本を繰り返す姿が印象的です
「キャンプでは徹底して左方向に打つ練習を繰り返します。バスターでたくさん、たくさん打って自分のスイングのポイントを知るわけですね。最初は三遊間にゴロを打って、体ができてくるとレフト、左中間へと。本当に根気強く練習します。職人的な雰囲気がありますね」
――巨人は特にマスコミが多いですが、07年からも安定した成績を残しています
「記者の方にとっては取材が難しいかもしれません。『サク越え何本!』と書ける選手ではありませんし、いい意味で頑固ですから。周りがどう言おうが、流されないことはスランプの少なさにつながっていると思います。
強打者は苦手なコースを徹底的に攻められます。その時にいろいろなコースに対応できるように、自分のスイングをつくり上げるので、苦手なコースが少ないんです」