――巨人に移籍してきて成績を残すのは大変だと思います

「ここで一つ言えるのはキヨ（清原和博）も広沢（克実）さんも落合（博満）さんも江藤（智）くんも長打力、ホームランを期待されたバッターでしたよね。ガッツの場合はヒットの延長線上にホームランがある。そして期待されていたのは勝負強さでした。そこで３番として機能したということが言えると思います。もちろん周りに流されない精神力と、誰よりも早く来て、遅く帰るというプロ意識も影響していると思います」

――その姿勢は巨人ナインに影響を与えたでしょうか？

「ものすごく影響を与えたと思います。巨人の選手たちも、もともとガッツが努力の人だということは知っていて、それを間近で見ることができた。すごくいいお手本になったと思います。阪神にカネ（金本知憲）が入って鳥谷（敬）たちが育ったのと似ていますね。
　もちろん巨人にも練習をする選手はいました。キヨが巨人に入った時に（高橋）由伸や二岡（智宏）の練習を見て、『あれだけ才能があって、あんなに練習するのか』と驚いていましたから。ただ、由伸も二岡もケガがあって厳しい練習ができない時期がありました。そういう意味でガッツの体の強さというのは光っていて、積み上げてきたものがトータル的にすごくなったんだと思います」

「ガッツはとにかく頑固で負けず嫌いですから。『今に見とけ！』という気持ちでここまでやってきたと思います。体も大きくないし、センスも特別なものを持っていなくても、全力でハッスルプレーを続けてここまできました。守備も走塁も手を抜きません。子供たちのお手本になる選手だと思います。
　野球をやっていると『センス』の一言で片づけられることが多いですけど、そうじゃない。努力でここまで来れるんだということを実証してくれた選手だと思います。

　僕が解説者になってから試合を見に行くと、ガッツが打つことが多いんです。だから不調の時にグラウンドで会うと、『パワーください』と言って握手したり、ハグしたりすることもあります。かわいい一面もあるんですよ。

　２０００本安打は通過点。ケガで満足な練習ができなくなることが不安ですが、納得する練習ができている間は成績を残すと思います。３０００本安打を目指してほしいです」

＜了＞