波乱渦巻く西日本、有力チームが軒並み黒星発進=高円宮杯U−18プレミアリーグ2011 ウエストプレビュー
ユース年代最強の京都U−18がまさかのつまずき
京都U−18の攻撃をけん引する三根(左)。久保との2トップは『ユース年代最強』との声も 【安藤隆人】
ウエストで優勝候補に目されているのは、京都U−18、広島ユース、C大阪U−18の3チームだ。中でも京都は春先の段階では、『ユース年代最強チーム』と言われていた。クラブを挙げて取り組んだ『スカラーアスリート制度』が浸透し、多くの優秀なタレントたちが京都の下部組織に集まってきた。昨年はトップチームに4人の選手を送り込んだが、今年のチームもそれと同等の人数が見込まれるほど、豊富な人材を誇っている。
実際にFW久保裕也、三根和起、MF原川力、国領一平、DF高橋祐治、GK杉本大地の大量6人が、すでにトップチームに2種登録をされている。この6人が今年の中心メンバーになる。中盤の構成は原川が担う。原川はボールキープに優れ、高いパスセンスで攻撃を組み立てるだけでなく、果敢にサイドに前線にと飛び出していける選手。ボランチでコンビを組む佐藤光恭も、192センチの長身ながら、裏への飛び出しがうまく、彼らが矢継ぎ早に飛び出してくることで、相手ディフェンスラインは大いに混乱するだろう。
そして前線には鋭い反転力とシュート力を誇る久保と、190センチの長身ながら足元の技術も高い三根の、『ユース年代最強2トップ』が君臨。この2人だけでも崩せるし、ここに原川、佐藤、そして両サイドからは国領、久永翼の弾丸ドリブラーが仕掛けてくるのだから、その破壊力はすさまじいものがある。
守備面でも抜群の安定感を誇る守護神・杉本、185センチの屈強なセンターバック高橋が軸となって、堅守を構築。全体的に穴がなく、各チームの指揮官も「今年のユース年代で一番強い」と口をそろえるほどのチームに仕上がっている。
しかし、開幕戦は愛媛ユースを相手に、常に先手を取りながらも、3度追いつかれる形で、3−3のドロー。思わぬつまずきを見せた。いきなり横綱を相手に大熱戦を演じた愛媛ユースは、『愛媛の至宝』近藤貫太という絶対的なエースがおり、決して侮れないチームだ。トップ下に位置する近藤とコンビを組むFW林祐希とのホットラインが生命線で、京都戦も彼らが貴重な同点ゴールをたたき出している。右FW藤直也、期待のルーキー大森遊音など、ほかにも個性的な選手がおり、全体的に小兵軍団だが、粘りでは負けない力強いサッカーを展開する。
クセ者ぶりを発揮した立正大淞南
C大阪ユースにはU−17日本代表のエース、南野拓実がいる。南野はドリブル、パス、シュート、そしてフリーランニングに長けた万能型のストライカーで、ゴール前では抜群の存在感を放つ。南野という強烈な個を生かすべく、FW風間健治、MF小暮大器、ボランチの秋山大地ら高い技術を持つ選手が強力サポートをする。しかし、開幕戦は立正大淞南の前に、1−2の敗戦を喫し、黒星スタートとなった。大会前から面白い存在だと思われていた立正大淞南が、早くもその『クセ者』ぶりを発揮した格好だ。
立正大淞南は、その開幕戦でゴールを挙げた稲葉修土と椋木健太の2人がチームのキーマンになる。今年も中盤をダイヤモンド型にした4−4−2を採用し、ワンボランチの稲葉と左MFの椋木が、ダイナミックなドリブル突破とシュートセンスを武器に、リスク覚悟のアタッキングサッカーをけん引する。FW林大貴、時にはセンターバックの甲斐健太郎も絡んで、全員が激しくゴールに向かって連動して突き進んでいく。
「今年は弱いよ。でもガンガン仕掛けていくよ。稲葉もどんどん前に出てくるしね」(南健司監督)と、相変わらずの南節も健在で、早くもその本領を発揮した。今回のリーグでも一筋縄では崩せない『クセ者』ぶりを存分に見せてくれそうだ。