石川遼、3年目の飛躍なるか? 丸山、今田との比較から見えた課題
米ツアー挑戦3年目を迎える石川遼。悲願の初優勝へはバンカーからのリカバリー率を上げることも課題の一つとなる 【写真:Yasuhiro JJ Tanabe/アフロ】
日本ツアーでは、2009年に史上最年少の18歳80日で賞金王に輝き、昨年5月の中日クラウンズ最終日には18ホールの世界最少スコア「58」(ツアータイ記録の12バーディー)を樹立するなど、すでに驚くべき実績を残している。
一方で、米ツアーは昨年も10試合に参戦したが、最高成績はアクセンチュア・マッチプレー選手権の9位タイ。マスターズ、全米プロというメジャートーナメントを含め、予選落ちが4試合もあった。日本ツアーでの活躍ぶりからすると、いささか落差が大きい印象を禁じ得ない。
丸山は02年、米ツアー25試合に出場し、予選落ちはわずか3試合。優勝1回を含むトップ10入り5回、トップ25入りは出場試合の半数以上となる13回に達した。今田は08年に25試合中、優勝1回、2位2回を含むトップ10入り5回という自己最高成績を残した。それぞれのシーズンにおける2人の主な個人成績と、昨年の石川を比較すると次のようになる。
丸山(02年) 今田(08年) 石川(10年)
平均スコア 70.26 70.56 71.49
ドライバー平均飛距離 280.0y 278.6y 286.0y
フェアウェーキープ率 65.1% 59.6% 62.0%
パーオン率 63.9% 61.4% 60.7%
平均パット数 1.753 1.758 1.817
サンドセーブ率 59.1% 57.2% 44.4%
「平均パット」と「サンドセーブ率」
では何が違うかといえば、まずは平均パット数(パーオンしたホールのみ対象)だ。1.8を超えている石川に対して、丸山と今田はともに1.75台をマークしている。この差がそのまま平均スコアの開きにつながっていると言っても過言ではない。なお石川は昨季の日本ツアーでは、1.736で全体2位だった。
日本でも米国でも、ティーショット自体は基本的にコースの影響をあまり受けない。芝の上にボールを置いて打つわけではないからだ。しかし、パットはそうではない。芝の種類や質、グリーンの形状や傾斜がコースごとに大きく変化し、日本よりも難易度が高い。いいスコアを出すには、その特徴を把握して対処する必要がある。これはやはり、ある程度実戦で経験を積み、身につけていくもの。フル参戦ではないが、米ツアー3年目の今年、石川もそろそろ経験を生かせる時期かもしれない。
もう一つはサンドセーブ率(グリーン周りのバンカーから2打以内でカップインする確率)。昨年は出場が10試合だけとは言え、石川の44.4%はやはり物足りない。日本ツアーでは、58.0%(全体4位)という高確率を記録しているのである。なぜ海を渡るとこれほど違うのか。
もちろん先のグリーンと同じく、バンカー自体の難易度が違うことが大前提だが、バンカーに入れてピンチに陥ったときの、メンタル面での対応能力も問われることになる。石川の場合、日本ツアーでは予選落ちがほとんどない(昨年は22試合中、2試合のみ)。だが選手のレベルが高く、わずかなミスでも予選落ちにつながる米ツアーでは、バンカーに入れた際のプレッシャーも、それだけ大きくなって不思議はない。メンタルスポーツと呼ばれるゴルフの最高峰で丸山、今田に肩を並べる成績を残すには、技術的な進化はもちろん、精神的な向上も求められる。
期待高まる“20歳の飛躍”
・マスターズ:20位タイ(19歳)
・全米オープン:10位タイ(20歳)
・全英オープン:47位タイ(20歳)
・全米プロ:3位タイ(20歳)
さらにマキロイは昨年5月、2日後に誕生日を迎える20歳最後の大会で、悲願の米ツアー初優勝を成し遂げた。実力者たちがその名を轟かせた20歳を迎える年に、石川も彼らのように飛躍できるか。注目のシーズンになる。
<了>
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