メッシvs.C・ロナウド、国の誇りを懸けたライバル対決

今年最高の一戦になる予感も

地元開催のコパ・アメリカへ向けて、バティスタ監督へのプレッシャーは日増しに高まっている 【写真:アフロ】

 一方、アルゼンチンではバティスタ監督へのプレッシャーがここ数カ月で強まっている。バティスタ率いるアルゼンチンは1987年以来の地元開催であるコパ・アメリカに臨む(87年大会のチャンピオンはウルグアイ。カルロス・ビラルドに率いられ、マラドーナとクラウディオ・カニージャを擁したアルゼンチンは4位だった)。ファンの望みは18年ぶりに優勝し、ビッグトーナメントへ帰還することだ。コパ・アメリカで優勝すれば、13年にブラジルで行われるコンフェデレーションズカップの出場権が得られる。スペイン(W杯王者)、ブラジル(地元開催)、日本(アジア王者)が既に出場を決めている大会で経験を積むことができるのだ。

 アルゼンチンでほかに興味深い要素といえば、バティスタが導入した戦術的な変化だろう。指揮官は2人の純粋なサイドバックを呼び戻し(ハビエル・サネッティとパブロ・サバレタはすでに継続的に招集されている。スパルタク・モスクワのマルコス・ロホも加えられた)、ポゼッションサッカーを実現すべく、中盤の選手も補強された(フェルナンド・ガゴ、エベル・バネガ、エステバン・カンビアッソ、ハビエル・マスチェラーノはたいてい招集されている)。目指すサッカーはバルセロナのそれに近い。メッシはバルセロナでプレーしているように前線の中央の位置に入るが、アタッカー陣(ファーストチョイスのイグアインは現在は負傷中)の後ろで自由に動くことが許されている。

 バティスタが今回、カルロス・テベスやセルヒオ・アグエロといった重要な選手を招集していないのは驚きだが、その代わりにアンヘル・ディ・マリアやベンフィカのニコラス・ガイタン、ベレス・サルスフィルドのファン・マヌエル・マルティネスといった選手たちを呼んでいる。ポルトガルはC・ロナウドに加え、ナニ、ダニー、エルデル・ポスティガ、ウーゴ・アウメイダ、クアレスマと攻撃陣のポテンシャルはかなり高い。

 両チームの特徴と潜在能力(親善試合で世界王者のスペインに対し、アルゼンチンは4−1、ポルトガルは4−0で勝利を収めている)とピッチにいるスター選手の存在を考えれば、今年最高の一戦になる要素は十分に備えている。唯一の気掛かりは、メッシが筋肉疲労のために欠場する可能性があることだが……。

<了>

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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