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静かなる正守護神争い、西川周作の挑戦

アジアカップで幕を開けた新たなバトル

西川はサウジ戦で失点ゼロに抑えて勝利に貢献。川島との新たな正GK争いに注目が集まる
西川はサウジ戦で失点ゼロに抑えて勝利に貢献。川島との新たな正GK争いに注目が集まる【Getty Images】

 2大会ぶり4度目のアジアカップ制覇に挑んでいる日本代表。グループリーグは苦しいスタートとなったが、結局は勝ち点7で1位通過。21日の準々決勝は開催国のカタールと激突することになった。


 完全なアウエー状態が予想される大一番を迎えるにあたって、GKを誰にするのか。それは1つの大きなポイントだ。

 ワールドカップ(W杯)・南アフリカ大会からの守護神・川島永嗣に戻すのか、それともシリア戦の後半途中から出てきてチームを落ち着けた西川周作を起用し続けるのか……。これはアルベルト・ザッケローニ監督にとっても悩みどころだろう。実績と経験なら川島だろうが、今大会の流れを重んじるなら西川も捨て難い。


「勝負の世界なのでスタメンにはこだわってやっていきたい。先発を取るポイント? 安定感ですかね。途中から出たとしてもみんなに安心感を与えられるようなGKが理想だと思っているから。僕はもっとそこに近づくようにやっていかないといけないですね」


 サウジアラビア戦の翌日、いつものように明るく話した西川だが、胸中には燃えるものが感じられた。日本代表GKのポジションは1つしかない。この10年余り、川口能活と楢崎正剛がし烈な競争を繰り返してきたように、西川も川島と戦い続けなければならない。2014年W杯・ブラジル大会までの競争はどうなるのか。権田修一を交え、このアジアカップで新たなバトルが幕を開けた。

なかなか超えられなかったハードル

 大分県宇佐市出身の西川は、ジュニアユース時代から地元のJクラブ・大分トリニータの下部組織で育った生え抜きだ。大分U−18時代にユース代表入りし、プロ1年目の05年にはワールドユース(現U−20W杯)に参戦。ベスト16入りを経験している。そして帰国後には大分のレギュラーを奪取。同年8月に就任したシャムスカ監督からも絶大な信頼を勝ち取った。身長183センチと高さはそれほどでもないが、キャッチングやセービングの反応、あらゆるボールの処理に優れ、抜群のフィード力の高さを誇る若き守護神を「次世代の日本代表を担うGK」と評する声は日に日に大きくなっていった。


 06年夏にオシムジャパンが発足すると、いち早く招集され、サウジアラビア・イエメン遠征にも帯同した。同じ大分U−18の後輩である梅崎司(現浦和レッズ)が一足先に初キャップを飾ったことから、西川への期待もひときわ高まった。


 しかし、代表守護神への道は険しかった。オシム時代は川口が絶対的な存在として君臨。楢崎は当初メンバーから外れていたが、山岸範宏が急成長を見せ、西川の前に立ちはだかった。07年になると、4学年上の川島も一気に頭角を現す。さらにはベテラン楢崎も復帰。ポジション争いは一段と激化した。西川は08年に北京五輪本大会に出場するも、A代表定着というハードルをなかなか超えることができなかった。


 初招集から紆余(うよ)曲折の3年が経過。09年秋には楢崎、川島に続く第3GKの地位をやっとつかむ。悲願の国際Aマッチデビューとなったのは、09年10月のアジアカップ最終予選、ホームでの香港戦。日本は岡崎慎司のハットトリックなどで6−0と圧勝し、西川には仕事らしい仕事はほとんどなかった。「あんまりボールを触る機会がなくて逆にドキドキした」と本人も苦笑いしたほどだ。それでも、重要な一歩には変わりない。「北京(五輪)が終わって目指すべきところはA代表だと思っていた。満足することなく常に上を目指したい」と前向きに語っていた。このまま2010年前半も代表に呼ばれ続けたことから、南ア行きは確実と見られた。

元川悦子
元川悦子

1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。Jリーグ、日本代表、育成年代、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から5回連続で現地へ赴いた。著書に「U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日」(小学館刊)、「蹴音」(主婦の友社)、「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」(スキージャーナル)、「『いじらない』育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(日本放送出版協会)、「僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン刊)、「全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え」(ぱる出版)、「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由 」(カンゼン)など。「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ 」を15年4月に汐文社から上梓した

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