悲願の初V狙う三洋、強さの秘密=ラグビー

村上晃一

2人そろって霜村キャプテンを絶賛

「霜村さんはすごい」とキャプテンを称える2人 【Photo:長岡洋幸】

――今季の戦いぶりを見ていると、トニー・ブラウン選手や霜村誠一キャプテンがいないときに苦戦しているようにも見えます。彼らがいない時は精神的にプレッシャーを感じたりするのですか?

堀江 メンバーが変わることで、チームとして合わないところはあるかもしれない。

田中 主力メンバーが固定されていますから、違う選手が入ったときに、能力的に問題はなくてもチームとしてのコミュニケーションが少し落ちるということはあるかもしれません」

――トニー・ブラウンがいないと不安になる?

田中 僕、ちょっとあります(笑)。ブラウニーからそろそろ独り立ちしなくてはと思うのですが、指示が的確だし、堀江やコリニアシ(ホラニ龍コリニアシ)もそうですが、コミュニケーションがうまい。どこにいるか、距離まで言ってくれるから見ないでもパスできる。

――堀江選手は今やどのチームの選手も絶賛します。今季はタックル数もチームで一番くらいでしょうね。

堀江 上のほうかもしれないです。ディフェンスの時にラインアウトの最後尾にいますから、タックルするのが役割。HOがそこにいることはほかのチームではあまりないのですが、僕はそこにいる。行くしかないです。

田中 2年前は僕がその役割をしていたのですが、堀江に取られました(笑)。

――今季素晴らしい活躍をしているチームメートを教えてください。

堀江 霜村さんはすごいです。

田中 尊敬します。

堀江 今シーズン、まだトライこそありませんが、ボールを持った時のゲインの距離はすごい。

田中 ディフェンスも、抜かれたところをほとんど見ない。いつでも日本代表でプレーできる人だと思います。

堀江「東芝に勝って優勝したい」

昨季プレーオフで敗れた相手、東芝とは「正直やりたくない」と冗談交じりに語った田中 【Photo:長岡洋幸】

――来年秋はワールドカップです。

堀江 一度は行きたい大会です。一次リーグの4試合にすべて出たい。ニュージーランドとフランスとはまだ試合したことがないので、ぜひ出場したいです。

田中 僕も一度は行きたいですけど、まずは三洋で結果を出してから選ばれたい。僕はオークランドに留学していたので、そのときお世話になった人たちも見に来てくれるみたいですから。

――トップリーグも終盤戦。プレーオフでは昨季、東芝に負けていますね。

堀江 だからこそ、東芝に勝って優勝したいです。

田中 純粋にラグビーをやり合っていると感じるのが東芝なんです。もちろん、どのチームとやってもラグビーなのですが、東芝は真っ向勝負。小細工無しです。だからこそ、負けたら悔しいし、勝ったらすごくうれしい。

堀江 めちゃくちゃ強いのに負けることがあるでしょう。不思議なチームですよね。

――開幕戦で東芝と戦ったとき、強さを感じましたか。

田中 正直、もうやりたくない(笑)。

堀江 当たりが強いこともありますが、オフロードパスが上手くて、攻撃を止め切るのが難しい。横に行ってくれると止めやすいのですが、東芝は縦に連続的に攻めてくるので。ボールさえ奪えれば攻めることはできると思います。ディフェンスは気合いと根性で行くしかないです。

――最後は東芝と対戦すると思いますか。

田中 はい。当たるとすれば、プレーオフトーナメントファイナルでしょう。

――ところで、9年後、2019年の日本開催のワールドカップの時は何をしていると思いますか。

堀江 僕は選手として試合に出ていたい。もし選手でいられなかったとしても、ウオーターボーイ(給水係)でもいいから代表チームに関わっていたい。見るだけは、嫌です。

田中 僕も試合に出たいけど、もし引退していたら、指導者になって教えた選手が出るのを見守る。そんな感じがいいかな。でも、とにかく今は、先を見ず、一戦一戦勝っていきたいです。

<了>

■選手プロフィール
田中史朗 / Fumiaki Tanaka

1985年1月3日、京都府生まれ。166センチ、75キロ。ポジションSH。伏見工高、京産大を経て三洋電機ワイルドナイツ入り。166cmと小柄ながら加入1年目よりレギュラーポジションを獲得。日本代表キャップ22。 

堀江翔太 / Shouta Horia
1986年1月21日、大阪府生まれ。180センチ、104キロ。ポジションHO/FL/?8。島本高、帝京大を経て三洋電機ワイルドナイツ入り。トップリーグでは昨年度のベスト15に選出。日本代表キャップ10。

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著者プロフィール

1965年、京都府生まれ。京都府立鴨沂高校、大阪体育大学卒。大学時代は、FBとして活躍。85年、同志社大学の関西大学リーグの連勝記録を71でストップさせた試合に出場。翌年、東西学生対抗の西軍FBに選出される。卒業後、ベースボールマガジン社に入社。90年から97年まで「ラグビーマガジン」編集長。現在はフリーのラグビージャーナリストとして、多くの雑誌に執筆。「JSPORTS」のあらゆるカテゴリーの解説をこなしている。編集者としても、ジャンルにこだわらずに単行本を手がける。著書に、大学時代の恩師であり、元日本代表名ウイング坂田好弘氏の伝説を追った「空飛ぶウイング」などがある。

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