菊谷「W杯につなげていきたい」=ラグビー

村上晃一

トヨタ自動車の北川(左)と菊谷がプレーオフに向けて意気込みを語った 【Photo:久保暁生】

 トップ4の常連であるトヨタ自動車ヴェルブリッツは、ジャパンラグビートップリーグで毎年優勝候補に挙げられながら、いまだ優勝はない。しかし、第9節では王者・東芝ブレイブルーパスを真っ向勝負で下し(34−28)、底力を見せつけた。今回はプレーオフに向けて勢いづくトヨタ自動車の主力であり、日本代表でも活躍する菊谷崇と北川俊澄の登場である。インタビューは東芝戦の前日(12月3日)に行われたのだが、勝利を予言するような明るい言葉が続いた。

菊谷「常にチャレンジャーの気持ちで」

「常にチャレンジャーの気持ちでいたい」と謙虚な姿勢を示した菊谷 【Photo:久保暁生】

――11月はトップリーグの休止期間で各チームは課題の修正などをするわけですが、日本代表選手はチームを離れます。そのあたり難しい点もあったのではないですか。

菊谷 今回は日本代表の活動期間が短かったので、僕らが日本代表に行っているときはチームがオフで、帰ってきてから新しいサインプレーなども練習しました。影響はなかったですね。

――後半戦に向けて戦い方は変わっていくのですか。

菊谷 いや、大きくは変わりません。細かなところの徹底と、激しさの部分をもっと出していく練習をしました。

北川 前半戦はブレークダウン(ボール争奪局面)のところが、あんまり良くなかったので、そのあたりを修正しました。

――第3節の神戸製鋼戦(16−7)は一人退場者が出て、ほとんどの時間を14人で戦いながら勝ちましたね。

菊谷 あの勝利は大きかったです。開幕戦でサントリーにトップリーグで初めて勝ち、3戦目はほとんど14人で勝った。良い波が来たと思ったのですが。

北川 あれで「行ける」という感覚が強くなった。チームの若さかもしれないです。負けたNTTコミュニケーションズ戦は、油断をしたわけではありませんが、ミスが多くなった。雨もあったし、悪条件が重なりました。

――チーム力としては十分に優勝争いできるという自信はあると思いますが。

菊谷 過去、ほとんどのシーズンでトップ4になっている。それを当たり前のように思っていたら危ない。常にチャレンジャーの気持ちでいなければ。トップリーグは全体のレベルが上がっていますから。

北川「ボール持つのは1試合に1回か2回」

――菊谷選手は日本代表のキャプテン、北川選手は以前トヨタでキャプテンを務めていました。現在の役割は?

菊谷 うちのキャプテン(中山義孝選手)はあまり口数の多いタイプではないので、僕の感覚でチームを集めて話したりすることもあります。

北川 僕はあまり話さなくて、練習の雰囲気が悪いときに厳しく言うくらいです。それ以外のケアは、菊谷や麻田一平(前キャプテン)がしていますから。

――キャプテン経験者は、キャプテンのサポートにも何が必要かが分かるのでしょうね。

北川 今の中山キャプテンは、体を張ってみんなを引っ張っていくタイプです。僕もそうだったので分かるのですが、周囲がうまくサポートして言うべきことは言っていかないといけない。キャプテンは自分のプレーに集中してもらえればいい。

――グラウンド上での菊谷選手と北川選手の役割分担は。

北川 簡単に言えば、菊谷はボールキャリアで僕はサポートプレーヤー。役割は明確に分かれます。ラインアウトの時は、一緒に話ながらやりますけど。

菊谷 最近の僕は、ボールを持つ機会が少ない。以前は、1試合で20回くらいボールタッチすることもあったんですけど、最近は10回くらい。戦術的なこともあってそうなっているのですが、もっともっと自分で行きたいですね。

北川 僕はサポートに徹しています。ボール持つのは1試合に1回か2回で。

菊谷 ひたすら仕事してますよね。ラックでのテークオーバーの数とかすごいですよ。3回連続でボールを出しているときもあるし、『よく頑張ってるなあ』って後ろから見てます(笑)。

北川 はい、ひたすら働いています。

――それは、高校、大学の頃から心掛けていたことですか。

北川 日本代表でJK(ジョン・カーワンヘッドコーチ)に仕事に徹するように言われてからですね。僕、日本代表でもほとんどボールを持たないでしょう?

菊谷 ほんと、仕事人のイメージが定着している。たまに調子に乗って、キック蹴るけど(笑)。

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著者プロフィール

1965年、京都府生まれ。京都府立鴨沂高校、大阪体育大学卒。大学時代は、FBとして活躍。85年、同志社大学の関西大学リーグの連勝記録を71でストップさせた試合に出場。翌年、東西学生対抗の西軍FBに選出される。卒業後、ベースボールマガジン社に入社。90年から97年まで「ラグビーマガジン」編集長。現在はフリーのラグビージャーナリストとして、多くの雑誌に執筆。「JSPORTS」のあらゆるカテゴリーの解説をこなしている。編集者としても、ジャンルにこだわらずに単行本を手がける。著書に、大学時代の恩師であり、元日本代表名ウイング坂田好弘氏の伝説を追った「空飛ぶウイング」などがある。

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