ダレッサンドロ「クラブW杯で優勝して有終の美を」=インテルナシオナルのエースが語る

インテルの何人かとは対戦したこともある

インテルナシオナルに再び南米王者のタイトルをもたらしたダレッサンドロ 【写真:Photogamma/アフロ】

――今大会では全くの偶然だけど、欧州代表は君たちと同じ「インテル」という名前のイタリアのチームとなった

 ああ、奇妙な感じだけど、「インテル−インテル」で決勝を戦う可能性もかなりあるだろうし、そうあってほしいね。そうなったら、ちょっと変な感じだろうな。

――決勝でまみえるであろうインテルについてはどう思う?

 決勝に進出する前に、僕らはまず準決勝を勝ち抜かなければならない。こういう大会は決してやさしいものではないからね。でも、もちろんインテルと対戦することになったら、素晴らしい決勝になるだろうね。昨シーズンの欧州チャンピオンズリーグ、インテルは準決勝でバルセロナを、決勝でバイエルンを破って栄冠に輝いた。今季ラファエル・ベニテスに監督が変わって、今は移行期にあるように見える。これまでのレベルを保たなければならないけれど、たくさんのタイトルを取った後にチームを維持するのは簡単なことではないだろうね。
 だけど、インテルもクラブW杯優勝という大きな目標を持っていると思う。彼らはもう何十年も、このタイトルを手にしていないんだからね。インテルはこの大会に照準を合わせて準備しているだろうし、素晴らしい選手もたくさんいる。

――そのうちの何人かは、君もよく知っているよね

 そうだね。アルゼンチン選手も多いし、何人かとは対戦したこともある。エステバン・カンビアッソ、ハビエル・サネッティ、ディエゴ・ミリート、ワルテル・サムエルといった選手はアルゼンチン時代、ユースやトップチームのころに違うチームで戦ったよ。あとは、ルシオもよく知っている。ブンデスリーガにいたころ対戦したからね。

――インテルで最も警戒していることは?

 すべてだよ。あらゆるポジションに素晴らしい選手がそろっているし、ヨーロッパにおけるビッグクラブの1つだ。今季もCLで早々に決勝トーナメント進出を決めた。インテルの突出した部分を挙げるなら、スナイデル、ミリート、エトーらから成る中盤から前の顔ぶれだろうね。彼らの攻撃は破壊力抜群だ。それに偉大なる守護神、ジュリオ・セーザルがいる。

――では、ブラジルの「インテル」にはどんな強さがある?

 たくさんあるよ。僕らの監督であるセルソ・ロッチは、ラファエル・ソビス、インディオ、ボリバール、チンガ、才能溢れるエドゥ、アレサンドロといった経験豊富な選手を軸に強固なチームを作り、ビッグタイトルを獲得したんだ。僕らはたとえ相手が強敵であっても、どのように試合に臨むのか分かっている。時間の使い方もね。

――ブラジル国内でのクラブW杯の展望は? インテルナシオナルに優勝のチャンスはどのくらいあると思う?

 大きな期待をかけてもらっているよ。インテルナシオナルは今世紀に入るまで、国際的に大きな成果を残していなかった。このポルト・アレグレの地域では、コパ・リベルタドーレスやコパ・スダメリカーナのために国境を越えるのはグレミオだったんだ。でも、06年にインテルナシオナルが初めてコパ・リベルタドーレス優勝を果たしてから、すべてが変わった。その後のクラブW杯では、フランク・ライカールト率いるバルセロナを決勝で破ったんだ。これでインテルナシオナルの名前が世界に広まった。今では僕らの目標は高いところにあるし、ファンは2度目の世界一を望んでいる。それほど、前回の優勝は強烈な印象を残したんだ。

優勝できたら、この素晴らしい年の最後を有終の美で飾れる

――クラブW杯が終わったら多くの選手がチームを出るといううわさがあるけれど

 間違いなく、ブラジルはタレントの宝庫で選手を輩出している。コパ・リベルタドーレスのような大会はショップウインドーだし、新たな活躍の場を求めてクラブを出ていく選手はいると思うよ。

――君自身はクラブに残る? それとも移籍する?

 どうだろう。もし欧州から新しいオファーがあったら、よく考えるよ。でも、僕はインテルナシオナルでいまだかつてないほど、居心地の良さを感じているんだ。キャリアをスタートさせたリバー・プレートの会長であるダニエル・パサレラが、僕を復帰させたがっているという話もあって、それにも魅力を感じているのも事実だ。今はまだ分からない。時が経てば話すよ。今のところは、クラブW杯のトロフィーを獲得することに専念したい。

――ここ数カ月、君はベストな状態を保っている

 とても満足している。ほかの国でプレーしていると先の見えないことが多いけど、僕の場合はここで最高の時間を過ごしている。08年にはコパ・スダメリカーナを制し、今回はコパ・リベルタドーレス王者になった。今後は、クラブW杯とレコパ・スダメリカーナ(コパ・リベルタドーレスとコパ・スダメリカーナの王者が対戦)を戦うチャンスがある。これ以上は望めないよ。

 個人的には、インテルナシオナルでのプレーが認められて、アルゼンチン代表に復帰することができた。来年のコパ・アメリカ(南米選手権)に出場したいし、ブラジルでのW杯を目指したっていいだろう? アルゼンチンは14年W杯をポルト・アレグレで戦うだろうと言われている。僕が居心地よく感じている土地でW杯を戦うなんて、素晴らしいことだと思う。いずれにしても、クラブW杯で優勝できたら、この素晴らしい年の最後を有終の美で飾れるね。

<了>

(協力:FIFAクラブワールドカップ事務局)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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