準優勝の東海大、菅野と伊志嶺それぞれの誓い=明治神宮大会大学の部リポート

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斎藤から“大学球界エース”のバトンを受け取った菅野

 早大・斎藤佑樹が守ってきた“大学球界エース”の座を引き継ぐべき投手が、この決勝の舞台のマウンドに立った。東海大3年生・菅野智之。2回戦の関西国際大戦では2安打1失点(自責点は0)で完投、準決勝の九産大戦では8回から登板して2回・無安打・4奪三振と完ぺきに締めて、決勝への切符を手に入れた。
 雨のため1日順延して行われた決勝戦。東海大打線が2回に1点を先制した。援護をもらった菅野は、「3試合目にして1番の調子。この秋1番のパフォーマンスだった」と話したように、最速155キロのストレートを軸に5回まで1安打無失点と早大打線を抑え込んだ。しかし6回、エラーや四球で2死満塁のピンチをつくると、4番・山田敏貴に「腹をくくって投げた」という初球のカットボールをライト前に運ばれる2点タイムリーで逆転を許した。「きょう1番自信があったボールなので悔いはない。でもそこで1本出たのは自分がまだまだ甘いということ」と振り返った。8回・5安打・6三振・2失点(自責点は0)でまとめ、早大・斎藤も「点を取れないと思った。すごいと感じた」と、その実力を認めた。

 東海大は、春の全日本大学野球選手権大会準優勝に続き、秋もあと1歩のところで優勝に届かなかった。菅野自身も、「4年生を勝たせてあげられなかったし、1点を守りきれずに悔しい」とくちびるをかんだ。それでも春に指摘された体力面は克服し、「先に点をやらない」投球もできた。「楽しい時間だった。この大観衆の中で試合ができてうれしかった」とすがすがしい表情も見せた。そして、「次のチャンスが来ればモノにする自信がある」と力強く言い切った。
 1学年先輩で、大学球界のエースに君臨してきた早大・斎藤は、この試合でワセダのユニホームを脱ぐ。「雰囲気があったし、スタンドも一体となって声援を送っていた。自分もみんなから信頼されて、背中を押してもらえる選手になりたい」と、菅野はその姿を追いかける。試合後、斎藤に「おめでとうございます」と声をかけると、「来年頑張れ」とエールを送られたという菅野。斎藤からバトンを受け取り、来年の大学球界を引っ張っていく。

ロッテ1位の東海大・伊志嶺、準優勝に「後悔はない」

「1番・センター」で先発出場した千葉ロッテ1位・伊志嶺翔大。初回の第1打席で、福井優也のスライダーに体勢を崩されながらもライト前ヒットを放った。その後は2三振を含む3打席凡退で、学生最後の試合は4打数1安打に終わった。守備では8回1死二、三塁のセンターフライで、強肩を見せつけるバックホームで三走をベースにくぎ付けにした。
 準優勝という結果に、「負けはしたけどやれることはやってきた。今日は後悔してません」と言い切り、「野球だけじゃなく勉強も両立させてきた。野球だけではいけないという大切さを学んだ」と学生生活を振り返った。来年から早大の斎藤(北海道日本ハム1位)や大石達也(埼玉西武1位)とパ・リーグで戦うことになる。「お互いを高め合ってプロ野球を盛り上げられるように頑張りたい」と切磋琢磨することを誓うと、「試合の中で存在感を出せる選手になりたい」とプロへの抱負を語った。

<了>
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