内村、個人2連覇なるか!? 鶴見ら女子の躍進にも注目=世界体操見どころ

日本体操協会:遠藤幸一

日本男子、内村の活躍に期待

16日に世界体操が開幕。個人2連覇を狙う内村の活躍に期待がかかる 【写真は共同】

 体操の世界選手権が16日、オランダのロッテルダムで開幕する。日本男子体操チームは、1960年から78年まで、五輪・世界選手権を通じて団体10連覇を果たしている。当時、連覇と言えばプロ野球の読売ジャイアンツの9連覇がクローズアップされていたが、それを上回り、さらに世界で10連覇を達成したことで「日本のお家芸」としての地位を確固たるものにしていた。その後、低迷する時期もあったが、2004年、アテネ五輪で28年ぶりの五輪団体金メダルを獲得。再び脚光を浴びることになった。しかし、世界選手権を見れば78年に優勝して以来、日本は団体優勝していない。そして団体優勝の回数は5回と、中国と旧ソ連が並ぶ8回には及ばない状況だ。

 そんな中、日本男子は、08年の北京五輪個人総合で銀メダルを獲得し、昨年の世界選手権(ロンドン)で史上4人目となる世界チャンピオンになった内村航平(日体大)を輩出した。身体を合理的に操る能力に秀で、何よりも体操を楽しむ姿勢を崩さない、世界の認める新しい王者である。当然、王者のいる日本にとっては、世界選手権32年ぶりの団体金メダル獲得はなるのか、内村の日本史上初の世界選手権個人総合連覇はなるのか、大きな期待が膨らむ。しかしながら、先日のポディウム練習時に流れた彼の肩痛の情報は、世界チャンピオンになることの難しさを改めて感じさせるものだ。

2大会連続のメダルが期待される鶴見

鶴見ら躍進中の女子は、果たしてどのような演技を見せてくれるか 【写真は共同】

 一方、日本女子も、北京五輪で団体5位と大躍進を果たし、昨年の世界選手権では、鶴見虹子(朝日生命体操クラブ)という個人総合銅メダリストを生み出した。彼女には連続メダル獲得、あるいは女子団体での活躍も期待されるが、世界では新しい力の台頭もみられ、そう簡単な道ではない。

 いずれにしても、10点満点廃止となり、選手の身体へかかる負担は想像以上に大きくなった。それは世界中の体操選手に言えることで、いかに合理的な練習を効果的に行い、大会期間にうまくピークを持ってくることができるかが問われる。その点、日本代表選手たちは男女ともに厳しい練習に耐え、準備はほぼ整った。あとは、選手たちを信じ、彼らに対して送る応援が必要である。この機会にぜひ、体操のハラハラドキドキ感を日本選手への応援とともに味わってほしい。

<了>
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著者プロフィール

1961年東京生まれ。日本体操協会常務理事・総務委員長。体操の金メダリストである父親を持つものの、小学、中学はサッカーに明け暮れていた。高校で体操に転身。国際ルールのイラストレーターとして世界中の体操関係者にその名を知られている。

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