ことしはハズレ1位ドラフト!?=2010年プロ野球ドラフト会議を探る
分かれる斎藤の評価
4年連続日本代表に選出するなどこの4年間の大学球界を引っ張ってきた早大・斎藤 【島尻譲】
まず、アマチュア野球にそれほど精通していないファンは斎藤佑樹(早大)が今ドラフトの目玉であると思っているだろう。これは決して間違った認識ではないが、スカウトらの見解は少し異なっているようだ。
「確かにいい投手なんだけどね。ただ、この4年間で周囲のライバルたちのノビシロを考えると頭打ちの感もある。あくまでも予想でしかないけれども、10年投げて、10勝挙げる年が1、2年あれば御の字。先発で5、6イニングを投げさせて、7、8勝で7、8敗の投手じゃないかな」
多少のバラつきはあるのだが、スカウトたちのコメントを総じると上記のようなものになる。それでは、豊作と呼ばれる年になぜ目玉なのか?
「そりゃ、やっぱり、知名度と人気が絶大だからね。観客動員やグッズ売り上げ、そのほかもろもろ。球団社長をはじめ、上層部は短期的ビジョンでもドライチ(ドラフト1位)の価値があるという判断。だから、取りに行けって(苦笑)。もちろん、僕らのドライチの価値観とは異なるけどさ」
斎藤本人が耳にしたら、忸怩(じくじ)たるものであるのは想像に難くないが、これが現場の率直な声。ただ、素直に斎藤を評価する声もある。
「伸び悩みとか言われるけど、常に大注目でマークの厳しい中、リーグ戦通算30勝は立派。4年連続大学日本代表に選ばれている訳だし、何よりも投げ続けているのに故障がないのは投手として魅力だよ」
やっぱり、斎藤が本命選手の1人であることは変わりないだろう。
斎藤と人気を分ける福井、大石
早大トリオ以外の大学生投手では157キロ右腕・澤村拓一(中大)や関西ナンバーワン左腕・大野雄大(佛教大)らの名前も好素材として挙がる。が、澤村は球速の割には空振りが奪えない。大野は大学ラストシーズンを左肩の炎症で回避しているといった理由で、“いの一番”での指名があるかどうかは分からない。
数少ない大学生野手では伊志嶺翔大(東海大)も今夏の世界大学選手権の疲れもあるようだが、「肩が強く、守備範囲も広い外野守備はすぐにプロでも通用する。打撃はまだまだ課題が多いけれども、右打者で右中間へ力強い打球もあるし、小技も使える。実戦向きの選手で、試合を重ねて成長すると思う」と、評価が頭一つ抜けている。