大宮、さいたまダービーを浮上のきっかけに
金久保がキーマンとなるか
FC東京戦でプロ初ゴールを決めた金久保。さいたまダービーで力を発揮できるか 【写真提供:大宮アルディージャ】
続く鹿島アントラーズ戦は地元・茨城でのゲームに意気込んだものの、いいところを見せられず。その悔しさを、FC東京戦に込めた。決勝点となったプロ初ゴールは、自身のサッカー人生の中でも「初めてじゃないか」と振り返るヘディングによるもので、ラファエルのクロスに体ごと飛び込んで決めた。パスをさばく、スルーパスを出すという役割だけでなく、得点に絡む――いやいや、自ら得点を決め、プロ入り時の目標であった「試合を決められる選手」になるというところにまで踏み込んでいくことで、チームとしての攻撃力は一気に厚みを増すことになる。前回はスタンドから見ていたさいたまダービーで、いよいよ力を見せる時だ。
堅牢さを備えつつある土台の上に、数々のピースを組み合わせ構築されていく大宮のサッカー。まだまだその完成形には及ばないが、おぼろげながらその姿が見え始めている。
「浦和はいいチームだが、何が起こるか分からないのがサッカー」
鈴木が累積警告で出場停止となり、最終ラインの構成は流動的だが、中盤から前はいつものメンバーが並ぶことだろう。浦和もポンテが出場停止、スピラノビッチを含め多くのけが人を抱え万全ではないようだが、持てる力のすべてを出し尽くしてほしい。
エース格の働きが期待されるイ・チョンスはFC東京戦後、「ダービーは、プレッシャーが大きいのであまり好きじゃない」と苦笑いした。報道陣に対して、あえてそれを公言するところに、ある種の余裕が見え隠れする。「浦和はいいチームだが、何が起こるか分からないのがサッカー」。そう言ってはいたが、「自分たちのプレーをいつも通りにすれば問題なく勝てるよ」と言っているように聞こえたのは、わたしの錯覚だろうか――。
<了>