西武を復活させた渡辺監督らの言葉

埼玉西武ライオンズ

連敗中でも「明るく楽しくプレーしよう」

連敗を7で止める劇的なサヨナラ3ランを放った西武・上本 【写真は共同】

 ことしで3回目を迎えた夏の一大イベント「ライオンズ・クラシック 2010」が8月29日の東北楽天戦をもって幕を閉じた。チーム存亡の危機に立たされた太平洋クラブ時代に焦点を当て、苦難の道のりをひもといてきた。

 その最終戦は、イベントのフィナーレを飾るにふさわしい劇的な試合となった。チームは20日から7連敗で首位から転落し、3位に沈んでいた。それでも、7連敗を喫した直後に渡辺久信監督は「これで終わりじゃない。野球を楽しくやりたい」と前を向いていた。
 そして迎えた29日、試合前には太平洋クラブライオンズのOBと現役選手による始球式が行われた。試合は1点を追う4回裏、中島裕之がライトポール際に飛び込む15号ソロを放って同点。太平洋クラブOBで2007年までヘッドコーチを務めた土井正博氏が見守る中で打った一発に「今日は大先輩方が来られているし、指導を受けた土井さんと一緒のユニフォームを着て打てて良かった」と喜んだ。その後、5回に栗山巧のタイムリーで勝ち越しに成功したが、8回に東北楽天・ルイーズに2点タイムリーを浴び、2対3と逆転を許してしまう。数日前のチームなら、このままズルズルと負けていたかもしれないが、この日は違った。渡辺久信監督、チームリーダーの中島らが率先して「明るく楽しくプレーしよう! みんなで気持ちを合わせて戦おう!」と盛り上げていた。逆転されてもベンチの雰囲気が暗くなることはなかった。
 そんなチームに勝利の女神が微笑んだ。9回裏1死一、二塁から上本達之がライトスタンドに3ランを放り込みサヨナラ勝利。チームが、ファンが待ちわびた白星はこの上なく劇的な一発によってもたらされた。「ライオンズ・クラシック 2010」のエグゼクティブプロデューサーを務めた東尾修氏は試合後に「素晴らしい試合をありがとう」と興奮気味に語った。

ケガから復帰した選手が実力を発揮

 持ち前の明るさが戻ってきたチームは、29日以降、5勝2敗と勝ち越し、首位の座をを取り戻した。優勝争いは混戦が続いているが、ペナントレースも残り20試合を切っている。故障で戦列を離れていた石井一久が18日に復帰し、貫録のピッチングで2勝を加えた。同じくケガから復帰した中村剛也も9月3日から3戦連続で本塁打を放つなど、調子を上げている。さらには星野智樹、グラマンらが戻ってきて、右肩違和感で調整を続けている岸孝之もいよいよ投球練習を再開した。

 めまぐるしく、さまざまなことが起こったシーズンもいよいよ終盤を迎える。埼玉西武は最後の最後に笑うことができるだろうか。目指すリーグ優勝、そして日本一のために、チーム一丸となって戦い抜く。

優勝に向けて思いをひとつに。「i believe lions.」

 ペナントレース終了までの西武ドーム開催試合において、応援スローガン「i believe lions.〜ひとつになる瞬間(とき)〜」を掲げ、チームとファンが一体となって戦っていく。ユニホームの胸元の裏地に刻まれた「i believe lions.」の文字。 “一つ一つの力は小さいけれど、一致団結して戦えば大きな力になる”との思いを、すべて小文字でつづったこの言葉に込めている。優勝に向け、正念場となる9月はこの言葉とともに強い気持ちで戦い抜く。期間中はドーム内外でイベントを開催、また、限定応援グッズや限定グルメを販売する。

<了>
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