“和製ボルト”飯塚、次世代をけん引するスプリンターを目指して=陸上
日本男子短距離初の金メダル獲得
世界ジュニア選手権、飯塚は男子200メートルで優勝し、日本男子短距離界に史上初の金メダルをもたらした 【Getty Images】
向かい風0.5メートルの条件下での記録は20秒67。5月の静岡国際陸上競技大会でマークした20秒58の自己記録にはわずかに及ばなかったが、どの選手も軟らかいと言うトラックで出した記録は、世界大会での日本男子短距離史上初の金メダル獲得とともに価値の高いものだ。
「優勝を狙いにいったので本当に良かったですね。みんな(身長が)大きかったけれど、気持ちで負けないようにしようと思っていました。すごく楽しかったですし、“日本人でもできる”というのを見せることができました」
こう言う飯塚は、決勝で前半から飛び出す選手がいなかったのも運が良かったと笑顔を見せる。この大会の100メートルで優勝したデクスター・リー(ジャマイカ)が、200メートルでは予選でフライングをして失格。昨年の世界ユース選手権(イタリア)の200メートルと400メートル2冠のキラニ・ジェームス(グレナダ)が400メートルに絞って出場していたことも、彼が楽な展開で勝てる要因となった。
「世界ジュニアで金」に向けた確実な調整
6月の日本学生個人選手権では、男子200メートルで大会新記録をマーク。世界ジュニアへ向け、着実にコンディションを上げていた 【写真は共同】
「この冬はいつもより時間が取れて、今までにないほど充実した練習ができました。それに年末から10日間ほど米国のテネシー大へ行って練習し、レースのことやドリル(フォーム矯正するための反復練習)などを分かりやすく説明してもらい、改めて勉強してきました」
記録向上の理由をこう説明する飯塚には、200メートルの第一人者・高平慎士(富士通)の不調もあり日本選手権(6月・香川)で一気に日本一へ駆け上がるチャンスもあった。だが彼は今季最大の目標を「世界ジュニアの金メダル獲得」と決めていた。そして当初の予定通りに日本選手権を回避。予選、準決勝、決勝というパターンを経験する意味で6月18日からの日本学生個人選手権に出場し、世界ジュニアへ向けて仕上げていた。