マリナーズ、ワカマツ監督解任劇の裏側=地元メディアは同情的

丹羽政善

低迷続くチームの病巣か?

ワカマツ監督の解任を発表するマリナーズのズレンシックGM=9日、米シアトルのセーフコ・フィールド 【共同】

 結局、ワカマツ監督は責任を取ったというより、負わされたという形で退場させられたのだろう。

 ワカマツ監督としては、ショーン・フィギンズの一件で、上層部からのサポートを得られていないことに気づいたはず。

 あのとき、フィギンズに交代を告げる過程でワカマツ監督に不手際があったとしても、決して、フィギンズがダグアウト内で乱闘まがいの騒動を起こす免罪符にはならない。公衆の面前で指揮官に手を出そうとした時点で、責任の所在は明確である。

 だが、フィギンズは出場停止にならなかった。謝罪もなかった。

 おとがめなしになったのは、ズレンシックGMの判断であり、上層部も当然からんでのこと。その判断が下ったとき、ワカマツ監督は、後ろ盾がないことを悟ったに違いない。
 仮にそのとき、選手のサポート次第では状況が変わったかもしれないが、地元記者から得ていたような信頼感をワカマツ監督が選手から得ていたかどうか――。

 おそらく、それがなかったからこういう結果を招いたはずで、今季のある時点から、求心力が落ちていることも否定できないことだった。

 それが、言われているようにケン・グリフィーの引退と結びつくかどうかは、現時点では分からない。

 単に、引退と、チームがシーズンをあきらめ始めたころの時期が重なっているだけかもしれない。いや、信頼感が薄れたのは、もっと別の理由があるかもしれない。

 いずれにしても、この解任の裏は複雑。成績に加え、ワカマツ監督と選手の関係が最終的には引き金を引いたかもしれないが、それ以外の要素の方が強いとも思える。

 まだ実績のない監督は、裏で実質的に指揮を執るGMの代理に過ぎないと言われることがあるが、今回の解任劇もワカマツ監督の監督としての評価以上に、どこか代理的な側面が見え隠れする。

 それは、長くプレーオフから見放されたチームの、病巣そのものなのかもしれない。

<了>

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマーケティング学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。

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