アラゴネス前監督は苦言、ファンは楽観視=スペイン代表のグループリーグを評価
ジャーナリストの疑問
ファンはスペイン代表に全幅の信頼を寄せている 【(C) FIFA/FIFA via Getty Image】
ただ、彼も試合内容に疑問を抱いていた点はアラゴネスと同じで、「ボールを独占し、圧倒的にゲームを支配していた。だが、スイスのGKベナーリオすらヒーローにならなかったこの試合では、何らかの問題があったはずだ」と納得する敗因を見つけ出すのに苦労していた。
また『アス』紙編集長のアルフレッド・レラーニョも、今大会のスペインに正体不明の違和感を感じている1人だ。「今大会これまで目にしてきたスペインは、過去2年間のスペインではない。W杯予選を戦ったチームとも違う。今は以前より慎重で、魅力を失い、疑念を抱き始めている」とチームの印象を語る。ラウンド16で対戦するポルトガルを「今のスペインにとっては非常に強力なライバル」と警戒していた。
ファンが抱く盲目なまでの自信
バジャドリー出身のエドゥアルドは「スイス戦の敗戦が地に足をつけてくれた。人々の頭を冷やして、これがW杯なんだってこと、まだ何も勝ち得ていないことを思い出させてくれたんだ」と、スイス戦の敗戦をプラスにとらえた。ホンジュラス戦で露呈した決定力不足についても、「あそこで悪運を使っておけば、今日から幸運に恵まれるはずさ」とポジティブ思考を貫き、一切の不安を見せなかった。
「スイス戦はモーターを温めるための一戦だった」と冗談半分に話したバルセロナ出身のビクトルは、「今日はスペインのサッカーを見せてやる。バルサベースのサッカーをね。おれはこの代表を100%信頼している」と自信満々に話した。
また、アルカジェテのホルヘは「決定力不足? 今大会をここまで見る限り、どの試合もロースコアで終わっているじゃないか。どこも得点を挙げるのには苦労しているんだよ」との考えを示した。
しかし、何より驚いたのは、話を聞いたスペイン人全員が次ラウンドの対戦相手として、ポルトガルではなくブラジルを望んだことだ(実際はポルトガルとなった)。ユーロ2008の優勝以来、スペインは勝者のメンタリティーを身に付けたと言われる。それは選手だけでなくファンも同じで、元々楽観主義者の彼らは、単純にW杯優勝が可能だと信じ込んでいる節がある。
とはいえ、腕を組んで眉間にしわを寄せて試合を凝視するよりは、よほど健康的なのかもしれない。W杯はお祭りなのだから。
<了>
文:工藤拓
■スペインサッカー リーガ・エスパニョーラWOWOW特設サイト
オフ期間中もサッカースペシャル番組が目白押し。2010−11シーズンも放送決定! 詳しい放送予定は、WOWOW特設サイトで。
■4年に1度のサッカーの祭典、W杯を放送!
WOWOWでは2010 FIFA ワールドカップ準決勝をオンエア。さまざまなドラマを生んできた世界最高峰の舞台で、各国が戦う死闘を見逃すな!