デンマークから勝ち点3を奪うためにすべきこと=決勝トーナメント進出に向けた提言

栗原正夫

狙い目は最終ラインからのつなぎ、右サイドバックの裏

デンマークの攻撃の組み立てはC・ポウルセン(右)を経由する。日本としては、ここでプレスをかけてミスを誘いたい 【Getty Images】

 対して、日本の狙い目はどこかと言えば、デンマークの最終ラインからのつなぎである。デンマークはマイボール時には、センターバックの2人が左右に開き、アンカーのクリスティアン・ポウルセンが中央に下がって、3−4−3気味の陣形を取る。つなぎの際には必ずと言っていいほどC・ポウルセンを経由するが、そこでの軽率なパスは見逃せない。第2戦でカメルーンが奪った先制弾もそうだったし、そこで引っかけられれば一気にビッグチャンスになる。もちろん、デンマークも失敗を踏まえて修正はしてくるだろうが、染みついたプレーというのは、なかなか消えるものではないだけに、執拗(しつよう)にインターセプトを狙ってみるのも面白いだろう。

 また、穴があるとすれば、右サイドバックのラルス・ヤコブセンの裏。ヤコブセンは初戦のオランダ戦で途中出場のエリアに再三突破されたように、スピード不足は明らか。加えて、右センターバックがケアーからクロルドルップに代わっていることを考えても、デンマークの右サイドの裏は突きどころと言えるかもしれない。もし、そこを突けるようであれば、それはそのままロンメダールの攻撃を抑えることにもつながるだけに、ここでの主導権争いは大きな鍵と言えるだろう。

デンマーク紙がオルセン監督に3つの提案

『B.T.』と人気を二分するもう1つのデンマーク大衆紙『エクストラ・ブラデット』では、オランダ戦での日本を「最初から勝ち点1を狙った戦いだったのは明らか。ただ、先制されてからは攻撃でフィニッシュまで持っていけるところを見せた」と評した上で、日本の3選手を例に挙げて、オルセン監督へ3つの提案をしている。

1)GK川島永嗣は、ミスなしでゲームを切り抜けることは滅多にない。たくさんシュートを放って、失敗を誘発させるべき。
2)守備的MFの阿部に仕事をさせるな。
3)前線では、オランダがしたように、90分間、本田圭佑をマークし続けろ。

 また、『B.T.』では、「日本で数少ない、オフェンシブなプレーができる選手」として大久保嘉人の名を挙げ、警戒すべきとしている。
 第2戦でカメルーンを下した後、ベントナーは「勝利は最高にうれしいけど、今日のゲーム内容にはまったく満足していない。でも、こういうW杯本大会では、勝利がものすごく大きな意味を持つ。こうしていいポジションに立てているのだから、ぜひともモノにしないとね。日本の試合を見たけど、闘争心があり、難しい相手だと思う。でも僕らはカメルーンに勝った。日本にも絶対勝てると思う」とコメントしている。
 デンマークでは、日本を警戒しつつも、勝つのはデンマークだとしているが、果たして日本はその評価を覆せるだろうか。

 もう1つ気になることを付け加えるなら、日本が標高の高いブルームフォンテーン(1400メートル)の後、ゼロメートルのダーバンで試合をしているのに対し、デンマークはいずれも標高の高いヨハネスブルク(1753メートル)、プレトリア(1214メートル)で1、2戦を戦ったということ。高低差かそれとも高地での戦いが続くことでの疲労の蓄積か。終盤の勝負になれば、こうした隠れた要素も試合の行方に与える影響は少なくないかもしれない。

<了>

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著者プロフィール

1974年生まれ。大学卒業後、映像、ITメディアでスポーツにかかわり、フリーランスに。サッカーほか、国内外問わずスポーツ関連のインタビューやレポート記事を週刊誌、スポーツ誌、WEBなどに寄稿。サッカーW杯は98年から、欧州選手権は2000年から、夏季五輪は04年から、すべて現地観戦、取材。これまでに約60カ国を取材で訪問している

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