韓国プロ球界で活躍する2人の日本人投手=門倉健、岡本真或リポート

室井昌也

絶対的抑えとして君臨する岡本

今季から韓国プロ野球に移籍した岡本。不動の守護神として防御率0点台と安定した成績を残している 【提供:LGツインズ】

 昨オフ、埼玉西武を戦力外となった岡本は、入団テストを受け今季からLGの一員になった。任されているのはストッパー。14試合に登板し2勝1敗7セーブ。16回を投げ自責点は1だ。
「数字的には満足していますけど、シーズン序盤はボールが定まらないことが多々ありました。振り返ると、そのころは上半身と下半身のバランスが合っていなくて、(軸足の)右足で押していけなかったですね。でも今はだいぶ修正できつつあります」
 岡本とバッテリーを組む、元韓国代表捕手・趙寅成は岡本についてこう話す。
「球は速くないけど、制球力がいい。タテのスライダーやフォークの角度もいいです。それだけにワンバウンドを止めるのに苦労しています。しかし、4つの球種の中からその日のいいボールを選んでリードできるので、とても組みやすいピッチャーです」

 最近の岡本は直球にも力が増してきた。
「4月は寒くて、気温1、2度の中で投げるという初めての経験もしました。そのころはとにかくがむしゃらに『打てるものなら打ってみろ』と気持ちで抑えていきました。最近は暖かくなってきて下半身が安定したことがボールの切れにつながっていると思います」
 チームの成績が下降線をたどり、登板機会は決して多くないが、岡本はLGの絶対的抑えとして君臨している。

 30代後半を迎えるも、新天地で活躍する門倉と岡本。この2人と中日でプレーし、現在、サムソンで投手コーチを務める落合英二は両投手についてこう話す。「韓国では2人とも『制球力がいい』と評価されています。これは日本でチャンスがない選手にも、伸びしろはまだあると期待を持たせてくれるでしょう」
「今まで見たことがないようなタイプのピッチャーやバッターがいて、パワフルでありながら、中には金泰均のような高い技術を持った選手がいます」(門倉)
「守備や走塁など雑な面もあるけど、代表選手クラスはレベルが高い。日本との違いは選手層の厚さでしょう」(岡本)
 2人がこう語る日韓の差。「門倉と岡本は韓国では活躍できる」と見るか、「門倉と岡本が韓国で復活した」と見るか。それを探るには東京から飛行機でたったの2時間半、空前の野球人気に沸く韓国で直接確かめてもらいたい。
(記録は5月16日現在)

<了>

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著者プロフィール

1972年東京生まれ。「韓国プロ野球の伝え手」として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。また編著書『沖縄の路線バス おでかけガイドブック』は2023年4月に「第9回沖縄書店大賞・沖縄部門大賞」を受賞した。ストライク・ゾーン代表。

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