G大阪に何が起きているのか?=低迷の理由、見え始めた明るい兆し
1勝4分け2敗の幕開け
FWを固定できないことが攻撃全体に悪影響を及ぼしている 【Photo:アフロ】
しかしそんな中で、今年になって似たような症状を発し続け、悩まされている集団がいる。それが関西の雄・ガンバ大阪だ。今季ここまでのG大阪は、チーム全体が花粉症にかかったかのようなもどかしいサッカーを続けており、なかなか結果を出せずにいる。
2月24日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)・水原三星戦を皮切りに、G大阪はこれまでに公式戦7試合を戦ってきたが、その1カ月間の戦績は、驚くべきことに1勝4分け2敗。元日の天皇杯決勝で強さを見せつけたチームとは思えぬ低迷ぶりに、周囲からは「ガンバどうしたの?」、「大丈夫?」などといった不安や心配の声も上がっている。
G大阪にとってシーズン開幕となった水原三星戦とのアウエー戦では、多くの選手が「初戦としては悪くなかった」と口にした通り、グループリーグで最も難しくなると予想された試合ながらも、惜しい場面も作って手応えを得た。続く富士ゼロックススーパーカップでも、敗れはしたものの全体としてはそこまで悲観すべき内容ではなかった。
不安をのぞかせ始めたのは、リーグ開幕の名古屋戦からだ。前半は思うように縦パスを入れるも、後半になって一気にペースダウン。逆に躍動感の増した名古屋にゴールを許し、1−2で敗れた。「必ず勝ち点3を獲りたい」(西野朗監督)と臨んだ4日後のACL予選第2節・河南建業戦でも、ルーカスのPKで追い付くのがやっとというふがいない戦いぶり。さらに14日の大阪ダービー・C大阪戦、20日の新潟戦でも引き分けに終わったG大阪は公式戦6戦未勝利と沈黙が続き、サポーターから受けるブーイングは日に日に大きなものとなっていった。
23日のACL予選第3節ではようやく勝利を挙げたものの、力の差が大きいはずのアームド・フォーシーズに2度も追い付かれる試合しかできず、周囲を安心させるまでの内容は見せられなかった。
FWを固定できないことの悪循環
しかし、そのルーカスは即戦力として、新加入のゼ・カルロスは大幅な体重オーバーで出遅れ、ドドも迫力あるプレーを見せているのは練習試合のみ。昨季よりコンディションの良いチョ・ジェジンも調子には波があり、ペドロ・ジュニオールにいたっては、全く機能しない上に新潟戦では監督采配(さいはい)に文句を付け、ユニホームをたたきつけるという醜態を見せるありさまで、チームの足を引っ張っている。
その間にチャンスを与えられてきた平井将生や宇佐美貴史といった若い日本人FWも、チャンスに絡むことはあっても思うように結果を出せず、レギュラーに定着するチャンスを逃してきた。西野監督が「(結果が出ない理由は)エースが出てこないということもある」とコメントする通り、FWが試合ごとに入れ替わる状態では勝利が遠いのも当然といえば当然である。
そしてFWを固定できないことが、攻撃全体に悪影響を及ぼしている。前線のコンビが定まらないことが中盤の選手の動きに迷いを生み、思い切った動き出しが激減しているのだ。ルーカスとチョ・ジェジンが2トップを組んだ試合では、クサビのボールが入ってもそこからの突破の動きがなく、「足元へのパスばかりになりがちで、相手の前で回るだけで終わっている」(加地亮)という状態が続くばかり。“無駄走り”をする選手がほとんどいないことは、攻撃の迫力低下の原因となった。
前線の活性化を目的に、システムを4−4−2から4−2−3−1に変更して臨んだ新潟戦でも「非常に1点が遠いなという感じ」と指揮官が嘆くサッカーしかできず。昨季までの播戸竜二や山崎雅人のような、相手ディフェンスラインと駆け引きをして裏を狙える選手が不在で、足元でボールを受けたがる選手がピッチに並んだことも停滞を呼んだ。
加えて、この試合では頼みの綱であるルーカスが負傷。その後、左ひざ内側々副じん帯損傷で全治4週間と発表された。