22連勝中のJT、その命運を握る絶対的エース=女子V・プレミアリーグ
非の打ちどころのない選手層
キムばかりに目が行きがちだが、ブロック、クイック両面で日本の中でも屈指の実力を誇る山本愛、石川友紀の両センター。サーブカットが離れた場面や、ラリー中にも積極的に攻撃を仕掛けてくるため、「ヨンギョンが来る」と思っていても相手のセンターブロッカーは「センターもある」と警戒を解くことができない。さらに、サイドからの速い攻撃に対応できる位田、谷口がいるため、相手ブロッカーは的を絞れない。セッターの竹下佳江は、全日本でのプレー以上にキレとバリエーションのあるトスワークを展開し、守備は2年目のリベロ、井上琴絵が固める。付け入るすきは、そうそう見つからない。「0−2でも、自分たちが準備すれば勝てる」と言うのも納得。これでは他チームは打つ手がない。
連勝が及ぼす、プレッシャー
選手たちはそれぞれ「結果は後から付いてくるもので、目の前の一つ一つを戦うだけ」(竹下)、「多少の負担はあるが、連勝は気にせず、プレッシャーを感じないようにしている」(キム)と言っているが、現在V・プレミアリーグ史上2位の22連勝が多少の影響を及ぼしているのは確かだ。
事実、石原昭久監督も危惧(きぐ)する。
「(NEC戦で)序盤からミスを出し、自分たちの首を絞めてしまうあたりは、連勝のプレッシャーや、多少のミスがあっても勝てるだろうという気の緩みがあるのかもしれない。選手たちに、どこまで(連勝が)影響しているかは読み取れない部分もある。こちらは(連勝が)間違った作用をしないように働きかけるだけ」
昨年末の天皇杯・皇后杯では、準々決勝で東レアローズにストレート負けを喫した。今季のリーグ戦では負けていないが、トーナメントで敗れたことが、短期決戦のセミファイナルラウンド、ファイナルラウンドに影を落とすのではないか――。
そんな不安を、キムが打ち消す。
「連勝に焦点を当てるのではなく、私たちには最後に大きな目標がある。最後にみんなで笑えるように。望むのはそれだけです」
絶対的エースの右腕に、その命運が託されているのは間違いない。
<了>