個人惨敗の成瀬、団体戦へ前を向く=クロスカントリー男子
39位に「お話にならない」とぶ然
世界との差に危機感を抱いた成瀬だが、次につながるチャレンジと内容はあった。
ビブス44番のスタート位置はシード選手と比べて明らかな不利があったが、あくまで苦手のクラシカルで上位をうかがえる「20位前後のキープを頭に入れて」滑った。1.3キロのチェックポイントではトップと11秒2差の46位だったのが、1周目で6秒1差の24位に浮上。
「でも、いい位置を取っても、そこからの維持ができなかった。予想以上のすごいハイペースで、どうしても後ろスタートだとリズムがつかめず、出ただけで終わってしまった」
その言葉通り、5.1キロでは54位に後退。それでも、以後はペースをつかみ、前半を43分54秒7の51位で通過。後半のフリーに入る。
その時点で、会場の電光掲示板に順位が載らないほどトップとの差は広がっていたが、得意の走法で順位を上げていく。恐らく、このあたりが走力アップの表れなのだが、「なんせ遅れた中での争いなので。その中で粘れたのはいいことですが、結局そのレベルなので残念です」と、表情を崩すことはなかった。
惨敗したトリノ五輪で芽生えた強い意識
バンクーバーイヤーを社会人3年目で迎え、昨年10月に話していた決意は「長い積み重ねの中で世界と戦いたい気持ちがあって、自分の中でもう一度やるぞと思っていました」。そして、この日も「メダルを目指してやってきたのは学生のころと違った。みんなと肩を並べて4年間練習してきたのは良かった。それが自分の楽しみというか、そういうところに達したところはありました」。
そのような強い意識の芽生えの中で、昨シーズンに足掛かりとなる結果を出す。シーズン最終盤の3月下旬のワールドカップで男子パシュート20キロ18位。30位以内に与えられるワールドカップポイントを獲得した。自身2度目の30位以内で、10位台は初めてだった。主力選手がそろそろフェードアウトする時期ではあったが、収穫は大きかった。
「ポイントを目標にして来て、やっと取れたことと、10番台に入れたのはうれしかった。ワールドカップの日本男子の枠が、ポイントを取ったことで1つ増えて3つにできたこともチームにとって良かった」
結果を出すために増やした練習量
週によって量をこなしたり、スピード練習を入れたりもした。そのせいで疲労が蓄積し、シーズン当初は調子を落とす。ノルディックスキー世界選手権の代表からも外れて悔しい思いをした。
「国内で一から地道に走りの追求をしました。国体で優勝してきっかけをつかめて。2月、3月にはワールドカップに出られて」
疲労が癒えてコンディションが良くなると、量をこなした成果が現れ出した。「僕はまだ長い距離に対応できるキャパが足りないと思っていて、パシュートでもいつもの30キロでなく、20キロだったことも良かったんです。でも、強豪選手と渡り合えた。肩を並べてやれるんだと分かったので、今季に入る上で気持ちも違います。そんな確信があります」とは、昨年10月に話していた手応えだ。
衰えない世界と戦おうという意欲
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