優勝の秋田商高、準優勝の盛岡大付高が有力=センバツ出場校予想・東北地区編

松倉雄太

決勝で延長11回完封勝利を挙げるなど、優勝の原動力となった秋田商高のエース・片岡 【写真提供:高校野球ドットコム】

 3月21日開幕するセンバツ高校野球大会の出場32校が1月29日に発表される。21世紀枠を除く出場校は昨秋の各都道府県大会、10地区(北海道、東北、関東、東京、東海、北信越、近畿、中国、四国、九州)に分けられた地区大会の成績を軸に29校が選出される。ここでは、選考において特に重要視される地区大会を総括し、各地区の出場校を予想。この項では、出場枠2の東北大会を振り返る。

秋田商高、インフルエンザを克服し頂点へ

 夏の甲子園に出場した聖光学院高(福島)と青森山田高(青森)が初戦で、連覇を狙った光星学院高(青森)も準々決勝で敗れる波乱の大会を制したのは、秋田3位で出場した古豪の秋田商高。初戦で岩手1位の一関学院高に快勝し勢いに乗った秋田商高だが、直後に部員の一部がインフルエンザに感染。同部屋だった選手も含めて秋田へ帰したため、準々決勝からの3試合はベンチ入り12人で戦った。
「棄権が頭に浮かんで何度も心が折れそうになった」と太田直監督は優勝後に振り返ったが、残った選手が折れそうになった心を支えた。準々決勝の山形中央高(山形)戦では左腕の須田貴司(2年)が9回をゼロに抑え、裏の攻撃でサヨナラ勝ち。準決勝は県大会で敗れた本荘高(秋田)を相手に、初回の1点をエースの片岡元気(2年)が守り切った。0対0で延長にもつれ込んだ決勝の盛岡大付高(岩手)戦では11回にファーストで出場していた須田に代打、退路を断ってエースと心中を覚悟。これに奮起し、最後は麻生真主将(2年)のサヨナラ打で4年ぶりの優勝を手にした。「(須田が下がって)このまま延長が続くと、片岡の選手生命に関わるかもしれないと思った。早く休ませてあげたいと思った」と話した麻生主将の目は涙で溢れていた。終わってみれば35イニング連続で無失点。神宮大会では高岡商高(富山)に0対7(7回コールド)と完敗したが、中盤までは互角以上の戦いを見せていた。

試合内容から盛岡大付高が選出か

 準優勝は岩手2位の盛岡大付高。エースの白石猛紘(2年)と左腕の高藤佑地(2年)を中心に4試合すべて1点差のゲーム。準々決勝の専大北上高(岩手)戦、準決勝の聖愛高(青森)戦と2試合続けて決勝打を放った槻舘洋弥(2年)の勝負強さが光った。秋田商高の12人に対し、この盛岡大付高も同じくインフルエンザ感染のため決勝では17人で戦った。
 東北大会初出場で4強に残った聖愛高の戦いぶりが光った。エース・斎藤佑亮(2年)から大型右腕・黒滝祐(2年)への継投がチームのパターン。準決勝で1点に泣いたが、光星学院高、青森山田高の青森2強の壁を破る日は近そうだ。その聖愛高に敗れたが、宮城1位で出場した古川学園高も氏家優悟、菅原翔太(ともに2年)と好投手を擁し楽しみなチームだ。エース・仙波直希(2年)が不調で苦しんだ本荘高は高橋京介、岡本大と1年生投手が好投したのが大きな収穫。
 センバツ出場枠が2つの東北地区。昨年は4強の花巻東高(岩手)が選ばれたが、ことしは試合内容からも決勝進出の2校で落ち着きそうだ。21世紀枠候補には山形中央高。優勝した秋田商高と9回まで接戦だったことと、平成に入り10回の東北大会出場という実績も候補選出の材料になった。全体的には投高打低の大会だったことは否めない。
 また、前述の秋田商高、盛岡大付高のほかにも。レギュラーの多くが感染し力を出し切れなかった金足農高(秋田)など、インフルエンザに悩まされた大会だった。

<了>
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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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