フェデラー・ナダル時代を脅かす次世代選手たち=男子テニス

テニスネットPro
 男子テニスツアーの今季最終戦、ATPワールドツアー・ファイナルは29日、ロンドンでシングルス決勝が行われ、ニコライ・ダビデンコ(ロシア)がフアンマルティン・デルポトロ(アルゼンチン)を6−3、6−4のストレートで下し、キャリア初のシーズンエンドタイトルを手にした。

フェデラーを下し、覚醒したダビデンコ

キャリア初のシーズンエンドタイトルを手にしたダビデンコ 【Getty Images】

 ダビデンコはラウンドロビン(総当たりリーグ戦)で、前回覇者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)とラファエル・ナダル(スペイン)をストレートで下したロビン・セーデリング(スウェーデン)との激戦を制し、準決勝進出を果たした。

 迎えた準決勝の相手は、この大会で2009年ATPワールドツアーチャンピオンの座をナダルから奪い返したロジャー・フェデラー(スイス)。ダビデンコはこれまでフェデラーに12連敗と、善戦しながら1度も勝利を上げていなかった。しかし、今回のダビデンコは違った。フェデラーに流れが行きかけても、正確なサービスでピンチをセーブ。速いフットワークから繰り出す鋭角的なストロークをコーナーに打ち込み、フェデラーを上回るテクニックとタフな精神力をファイナルセットの最後まで失うことはなかった。

 初めてフェデラーから勝利したダビデンコは、非常に印象的な静かな微笑みを残した。この試合で覚醒したダビデンコに、もう怖いものは無かった。決勝では、今年の全米オープンで初のメジャータイトルを獲得したデルポトロから圧巻のストレート勝利を奪い、28歳にして遂にATPワールドツアーファイナルズのビッグタイトルを獲得した。

新時代の到来を予感させたシーズンファイナル

決勝で敗れたものの、次期ナンバーワン候補のデルポトロも存在感を見せた 【Getty Images】

 この大会前、話題の中心はフェデラーのイヤーエンド・ナンバーワン(年間世界ランキング1位)奪回と、ナダルによる逆転の可能性であった。しかし、ナダルは今年の全仏オープン4回戦で敗れたセーデリングにいきなりストレート負け。一方のフェデラーは、ラウンドロビン2戦目でアンディ・マリー(英国)から逆転勝利を収め、ナンバーワン争いに早々と終止符を打った。

 しかし、そのフェデラーも準決勝でダビデンコに敗退。ナダル、マレー、ジョコビッチ、フェデラーと次々に“ビッグ4”が消えていく中で決勝に駒を進めたのは、次期ナンバーワン候補のデルポトロだった。彼はラウンドロビン初戦こそマレーに敗れたものの、フェデラー戦では全米オープン決勝を上回る力強いプレーで現ナンバーワンに連勝。きん差でマレーをかわし、準決勝進出を果たした。準決勝ではセーデリングの完ぺきなプレーを突き崩し、逆転で決勝進出を果たしたが、ゾーンに入ったダビデンコの牙城を崩すことはできなかった。

 しかし、これほどまでに接戦の続くシーズンファイナルがこれまであっただろうか。ラウンドロビンで3敗したフェルナンド・ベルダスコ(スペイン)でさえ、3セットをもぎ取る大健闘を見せ、ここロンドンで大きな自信を獲得している。来年のATPワールドツアーは混戦となることは間違いない。

 必ず“ビッグ4”に食い込むであろうデルポトロ、覚醒したダビデンコ、安定感を見せたセーデリング、もちろんジョコビッチ、マレーの充実ぶりからも目が離せない。この拮抗(きっこう)した厳しい戦いを見ると、来季のグランドスラム決勝でフェデラーとナダルに取って代わる選手が出てくるのも、時間の問題なのかもしれない――。

<了>
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