2024年セパ交流戦・戦力ランキング

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 シーズン開幕から約2カ月、5月28日から2024年のセ・パ交流戦が開幕する。開幕時の評価に今季ここまでの戦いぶりを加味して、改めてセ・パ12球団の戦力を数値化。「打力」(30点満点)、「機動力」(10点満点)、「投手力」(30点満点)、「守備力」(10点満点)、「選手層」(10点満点)、「経験」(10点満点)、の6項目に分けて評価した。大切な交流戦を戦い抜く「戦力」が整っている球団は、果たしてどこだ!?

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解説

際立つソフトバンク、圧倒的な爆発力

小久保裕紀監督就任1年目のソフトバンクは、開幕から圧倒的な戦いを続けて早くもパ・リーグ独走状態で交流戦を迎えた【写真は共同】

 交流戦を前にした戦力値で合計1位となったのは、現在パ・リーグの首位を独走するソフトバンクだ。開幕前の時点では、新加入の山川穂高のブランクが懸念され、先発投手陣にも不安があって総合2位タイの合計「80」だったが、そこから一気に「89」まで上昇した。

 打線は満点の「30」だ。山川が期待以上の爆発を続け、近藤健介、柳田悠岐も絶好調。栗原陵矢、周東佑京の復活も大きく、1番から9番まで隙がなく、バランスの良い打線が完成された。“投高打低”が顕著なシーズンで、パ・リーグ全体の平均打率.240の中でチーム打率.261を誇っている。加えて、チーム本塁打、得点圏打率も断トツトップ。5月21日の楽天戦で計21得点を奪った打線の破壊力に、セ・リーグの投手陣も戦々恐々としているのは間違いない。

 それ以上に総合値を押し上げたのが投手陣だ。特に先発投手陣への不安があったが、大津亮介とモイネロの先発転向組がローテの一角として防御率1点台の安定感を示し、有原航平、東浜巨、大関友久といった面々も十分な働きぶり。まだ勝ち星は伸びていないが、スチュワート・ジュニアも好投を続けており、オープン戦で不振だったベテラン・和田毅も貫禄を示す2戦2勝。守護神・オスナへと繋ぐリリーフ陣も安定感抜群で、チーム防御率は12球団トップとなる驚異の2.06だ。“できすぎ”の面はあるだろうが、戦力は間違いなく整備されており、投手力の数値は開幕前の「23」から一気に「28」までアップした。

 その他、12球団2位の34盗塁&盗塁成功率81.0%で、機動力も高評価。守備面も内外野ともに隙がない。勝つことでチームの経験値も上がり、侍ジャパンを率いた経験のある小久保監督の手腕への評価も高い。「打ちすぎ」「勝ちすぎ」の反動が懸念で、交流戦開幕直前に喫した今季初の同一カード3連敗が気になるが、戦力値は間違いなくトップだ。

評価ダウンの阪神とアップした巨人

阿部慎之助新監督に率いられた“新生”巨人は、投手防御率が一気に改善した【写真は共同】

 合計2位になったのは、昨季の日本一チームである阪神だ。自慢の投手陣は健在で、チーム防御率2.17はリーグトップ。村上頌樹、大竹耕太郎の2人が順調で、伊藤将司と青柳晃洋が本調子でない代わりに才木浩人が絶好調。リリーフ陣には安定感が際立つ新助っ人・ゲラが加わり、投手力は層の厚さも含めて開幕前と変わらずに12球団トップの評価「29」となった。その一方で打線は期待値以下で、チーム打率.223はリーグワーストの数字。まだ活かし切れていない機動力とともに、1ポイントずつ下げることになった。ただ、昨季の実績も含めて選手は揃っており、ここから必ず巻き返すはず。昨季の交流戦は7勝10敗1分けと負け越したが、果たして今季は浮上のキッカケにできるだろうか。

 その阪神に次ぐ3位で合計「77」になったのが巨人だ。先発、リリーフともに明確な課題があった中、5月24日の阪神戦でノーヒットノーランを達成した戸郷翔征に加えて、山﨑伊織、堀田賢慎が成長の跡を見せ、さらに近年不振が続いていた菅野智之が待望の復活を果たし、新加入の高橋礼も戦力として働いている。リリーフ陣でも、ルーキーの西舘勇陽が奮闘。復調したはずの大勢の離脱は痛いが、来日2年目左腕・バルドナードが無双中で、開幕前から一気に5ポイントアップの「27」となった。その一方で打線が低打率に苦しみ、打力は開幕前よりも数値を下げた。それでも阿部慎之助新監督の“守り勝つ野球”は着実にチームに浸透しつつあり、交流戦への期待も大きい。

3連覇王者のオリックス、「打」のDeNAが続く

 4位は合計「76」、リーグ3連覇中のオリックスとなった。エース・山本由伸の穴を埋めるはずだった山下舜平大の不振は誤算だったが、宮城大弥、田嶋大樹、東晃平、曽谷龍平と先発陣の駒は揃い、新外国人のエスピノーザが期待以上の働きを示す投手陣は、依然として「27」の高評価だ。だが、巨人と同じく打線が低打率に苦しんでいる打力に加えて、現時点で12球団ワーストタイの失策数の守備力がともに開幕前よりも数値を下げた。不振の頓宮裕真、森友哉が交流戦で復活できれば、ソフトバンクとの差も詰められるが、果たしてどうなるか。

 続く5位には合計「73」のDeNAがランクインした。牧秀悟が肉離れで一時離脱し、ドラフト1位ルーキーの度会隆輝も2軍再調整中。他の打者陣もまだ本調子ではないが、筒香嘉智が電撃加入し、戦列復帰を果たしたオースティンが元気一杯で、打力は「28」の高評価だ。一方、リーグワーストのチーム防御率3.32で投手力が伸びず、失策数もリーグワーストで守備力でも数値を下げた。その中で迎える交流戦、昨季は得失点差率ながら11勝7敗で初優勝しただけに期待したいところ。自慢の打線がパ・リーグ投手陣をどう打ち崩すのかに注目だ。

合計「72」で並んだ日本ハム、広島、そして中日

就任3年目の新庄剛志監督のもと、日本ハムは交流戦でも白星先行の戦いを続けられるか【写真は共同】

 6位タイには、合計「72」で3チームが並んだ。現在パ・リーグ2位の日本ハムは、伊藤大海、加藤貴之、山﨑福也、北山亘基の先発陣が安定しており、投手力が開幕前の投手力「22」から「23」へアップ。打力は「23」のままだが、チーム一丸の戦いを続ける中で田宮裕涼という楽しみな捕手も頭角を現しており、楽しみは多い。昨季から守備力も改善され、機動力を活かした攻撃も浸透し、新庄剛志監督の下で勢いだけではなく選手層、経験値も確実にアップ。昨季交流戦は10勝8敗だったが、今季もセ・リーグ相手にも五分以上で戦える戦力値となっている。

 広島は投手力「27」が強み。九里亜蓮がまだ1勝のみだが、床田寛樹、森下暢仁、大瀬良大地がいずれも防御率1点台の安定感を誇っている。一方の打線では、小園海斗が好調で末包昇大にも期待だが、坂倉将吾の調子が上がらず、全体としては「21」と数値は伸びず。強みだったはずの機動力も盗塁成功率が53.3%の12球団ワーストで、開幕前よりも数値を下げた。昨季9勝9敗だった交流戦で、今季は白星先行できるか。

 そして立浪和義監督3年目の中日は、2年連続最下位で迎えた開幕時の戦力値から2ポイントアップさせた。小笠慎之介、柳裕也、髙橋宏斗、涌井秀章、梅津晃大と揃う先発陣に絶対的守護神・マルティネスが最後に控える投手力は「27」の高評価。大野雄大が復活していれば、さらに数値は上がった。課題の打線には中田翔が加わった効果が現れており、細川成也と村松開人の好調ぶりが頼もしく、開幕前から1ポイントアップの打力「22」となった。機動力不足は課題だが、守備力は高く、昨季7勝10敗1分けに終わった交流戦時よりも間違いなく期待できる。

下位4球団、戦力差はわずかだが…

 そして下位4球団は、合計「71」でロッテとヤクルトが並び、楽天が「70」、西武が「69」となった。

 ロッテは佐々木朗希、小島和哉、種市篤暉、西野勇士の先発陣に力があるが、佐々木がまだ“圧倒的”ではなく、投手力「25」は開幕前と変わらず。日替わり打線の中で、新加入のソト、プロ2年目の友杉篤輝が奮闘し、交流戦前に髙部瑛斗、石川慎吾が加わった打力は開幕前から1ポイントアップさせたが、その一方で盗塁数が伸びないことで機動力が開幕前から1ポイントダウン。昨季交流戦は7勝9敗2分けと負け越したが、今季はここから浮上したい。

 ヤクルトの強みは、村上宗隆、山田哲人、サンタナ、オスナが並ぶ中軸打線にある。塩見泰隆の長期離脱は非常に痛いが、丸山和郁や長岡秀樹も確かな成長を見せている。現状、チーム打率はDeNAと並び、チーム本塁打はリーグトップとなっており、打力「27」の高評価だ。一方、課題の先発投手陣に、新助っ人のヤフーレが好投を続け、吉村貢司郎も奮闘中だが、チーム防御率3.25はリーグ5位。依然として選手層の薄さも気になる。リーグ優勝を果たした2022年シーズンのように、交流戦で勢いに乗ることができるか。

 楽天は、打力「23」、投手力「21」の評価。辰己涼介が好調で、浅村栄斗、島内宏明、鈴木大地と実績のある選手たちもここから調子を上げてくるはずだが、投手陣が12球団ワーストかつ唯一のチーム防御率4点台(4.07)と打ち込まれている。先発の柱が不在で新加入のポンセが大炎上中。開幕から14試合連続無失点だった新守護神の則本昂大も交流戦前についに失点した。就任1年目の今江敏晃監督のもと、昨季12球団トップの102盗塁をマークした本来の機動力を発揮したいところだ。

 パ・リーグ最下位に沈む西武は、打力「19」、投手力「27」となった。髙橋光成、今井達也、平良海馬、隅田知一郎、松本航、即戦力左腕・武内夏暉と揃う先発陣への評価は開幕前から高かったが、髙橋の不振が誤算。打線ではアギラー、コルデロの新外国人コンビが、揃って使い物にならず、12球団ワーストのチーム打率.214に悩む。投手陣に力はあるだけに「打てば勝てる」はずで、交流戦直前には2連勝したが、現状は勝率.333と苦しい戦いとなっている。その中で松井稼頭央監督の休養が発表され、交流戦からは渡辺久信GMが監督代行として指揮を執ることになった。この“劇薬”に効果はあるのか。昨季交流戦は6勝12敗の最下位に終わったが、今季は“生まれ変わった”姿を見せなければならない。

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