田臥勇太の復帰は間近!=JBL2年目、リンク栃木の躍進

小永吉陽子

待望の田臥勇太の復帰は目前

右かかとのけがからの復帰間近に迫った田臥勇太(中央)。今季は、どんな華麗なプレーを見せてくれるか!? 【加藤よしお】

 現在かかとを痛めて開幕から欠場している田臥の復帰は「11月28日からの東芝2連戦か、年内最終戦の12月19日からのアイシン戦のどちらか」だと本人は語る。
「もっと早く復帰できると思っていただけに、今回のケガは正直とても悔しかった」。

 田臥がここまで長い間リタイアしたのは、大学生のときにヘルニアでシーズンを棒に振って以来のこと。今年は日本代表を辞退してまで、NBA挑戦にかけた。ダラス・マーベリックスより、サマーリーグの前段階にあたるミニキャンプに招待されたのははじめてのことで、これを大きなチャンスだととらえたからだ。しかし、ミニキャンプ直前にかかとを負傷。骨に異常はなかったが、腱に傷がついてしまい、完治までに予想外の時間がかかった。夏の時点ではサマーリーグ出場の可能性が残っていたため無理をしながらトレーニングを積んでいたが、NBA挑戦が無理だと判明した時点でじっくりと完治する方法に切り替えた。

 NBAのミニキャンプに呼ばれたとき、田臥のパフォーマンスはベストだったという。日本代表として、5月下旬に行われたフィリピン若手チームとの練習試合で田臥のプレーを見た関係者、そしてキャプテンの折茂武彦(レラカムイ北海道)などは「勇太は欲しいところにズバッとパスがくる。(トヨタでプレーして以来)久々にチームメイトとしてプレーしたけど、他の日本人のガードとは違う目を持っている」と絶賛していたほどだった。しかし、公開練習そのものが限られていたため、日本代表としての田臥の“ゲーム”姿は、メディアでさえ目にした者はいなかった。

田臥「チームも自分もバスケの質を高めていくことにこだわる」

 それほどまでに日本代表で切望されていた田臥のプレーが、現在はどこまで復調しているのだろうか。キャプテンの安齋は言う。
「勇太の復帰はチームにプラスを与える。今チームは僕のリズムでプレーしているから勇太のスピードに慣れるのに多少の時間はかかるかもしれない。それでも、勇太が復帰してボールをプッシュする速い流れが出てきたら、うちはもっと強くなると思う」と自信をのぞかせる。そして、田臥の復帰によって自身のプレータイムが減ったとしても「それでもチームが結果を残すほうがうれしい。僕は僕の出番で僕らしいプレーをするだけ」とキャプテンとして答える。

 これまでNBA挑戦のためにNBAデベロップメントリーグなどのチームを渡り歩いた田臥にとって、昨年は日本ではじめてといっていいほど、責任ある立場で働いたシーズンだった。久々に得た充実感と司令塔としてチームを勝たせたい思いが、今季もリンク栃木と契約を結んだ理由でもある。だからこそ「今年こそは」との思いも強い。「今以上に速い展開にすることが僕の役目。今年はチームも自分もバスケの質を高めていくことにこだわりたい」(田臥)

 チームの顔である田臥が戻ったこれからがリンク栃木の本番だと言える。そして、今はとにかく見てみたいという期待が強い。日本での田臥勇太のベストパフォーマンスを。

<了>

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著者プロフィール

スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者となる。日本代表・トップリーグ・高校生・中学生などオールジャンルにわたってバスケットボールの現場を駆け回り、取材、執筆、本作りまでを手掛ける。

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