フェデラー包囲網の最有力候補!? ジョコビッチが優勝=ダビドフ・スイス室内

テニスネットPro

ダビドフ・スイス室内 フェデラー(左)を破り、今季4勝目を飾ったジョコビッチ 【Getty Images】

 男子テニスのダビドフ・スイス室内は8日、スイスのバーゼルでシングルス決勝を行い、第2シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が6−4、4−6、6−2で、地元出身の世界No.1プレーヤー、ロジャー・フェデラー(スイス)を破り優勝した。

徐々に安定感を増すジョコビッチ

 ジョコビッチはこの秋にチャイナ・オープンでタイトルを獲得、上海マスターズでも準決勝に進出し、自信を持ってバーゼルに乗り込んできた。そして準々決勝と準決勝ではマッチポイントを握られる苦しい展開の中、何とか勝利を手にして決勝に駒を進めてきた。

 苦境を経験したジョコビッチは、この決勝でその成果を思う存分発揮している。第1セット終盤のブレークで5−4とリードすると、フェデラーの5度に及ぶブレークポイントを跳ね返してセットを奪取。このゲームは決着を見るのに24分も要し、これが試合の流れを決める大きなポイントとなった。第2セットではオープニングゲームをブレークしたジョコビッチが、フェデラーに2度のブレークを返されワンセットオールに追いつかれる。しかし勝負のファイナルセットでは序盤に2つのブレークを奪い、粘るフェデラーを堅実なサービスゲームで振り切り、今シーズン4つ目のタイトルを獲得した。

 ATP最多勝をひた走るジョコビッチにとって、この時期にフェデラーを倒せたことは大きな財産となるだろう。毎年自分の弱点克服に取り組み徐々に安定感を身に付けてきたセルビア人は、まだ完全復活とは言えない世界2位のナダルとともに、ATPワールドツアーファイナルズでフェデラーを苦しめる最有力候補だと言えるだろう。

6週間ぶりのコートに立ったフェデラー

 今年ラファエル・ナダル(スペイン)から世界ランキング1位の座を奪い返したフェデラーは、悲願のローランギャロス(全仏オープン)制覇のあとウィンブルドン(全英選手権)でテニス界では前人未到となる15個目のグランドスラムを獲得していた。そしてUSオープン決勝で敗れた直後に出場した、国別対抗戦のデビスカップでもチームに貢献。心身ともに疲労困憊(こんぱい)となったスイスの“巨匠”は、出場予定だった楽天ジャパンオープンと上海マスターズをキャンセルしていた。

 しかし、6週間ぶりにコートに立ったフェデラーは好調そのものだった。決勝進出まで全てストレートで勝ち上がり、準決勝の相手である幼なじみの同胞マルコ・キュデネリにも気を使う余裕を見せた。ただフェデラーにとって唯一の不安要素は、この大会でトップ選手との対戦がまだなかったことだった。

 フェデラーにとって、かつてボールボーイを務めた思い入れのある大会での決勝敗退は、明らかに本意ではなかったはずだ。しかしグランドスラムを中心に1年間のスケジュールを決めているフェデラーは、6週間ぶりに地元バーゼルでツアー復帰を果たし、毎年成績の悪いBNPパリバマスターズ(8日開幕、フランス・パリ)で調子を整え、今年最後のビッグタイトルとなるATPワールドツアーファイナルズでラストスパートをかけるという腹づもりでいることだろう。

 この1年もがき苦しんだ中でNo.1を奪回し故郷バーゼルに帰ってきたフェデラー。試合のあとボールガール1人ずつに握手する彼の目は少年時代の自分を見る喜びに溢れていた。

<了>
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