ミラン、カカのレアル・マドリー移籍が示す不安な未来=ホンマヨシカの「セリエA・未来派宣言」
「レアル・マドリー移籍は僕にとって重要な挑戦」
レアル・マドリー加入が決まったカカ 【Photo:Maurizio Borsari/アフロ】
ブラジル代表の合宿先で緊急記者会見を行ったカカは、「レアル・マドリーは僕にとって重要な挑戦だ。このクラブが再び、スペイン、そしてヨーロッパにおける主役に戻れるよう、多くのタイトルを獲得したい」と意気込みを語った。
今回の移籍は、2001年にジダンがユベントスからレアル・マドリーに移った際の約7500万ユーロ(約102億円)に次ぐ史上2番目の高額移籍として刻まれることとなった(クリスティアーノ・ロナウドの移籍が成立する見通しなので3番目になるが……)。しかも、この世界的な不況にもかかわらず、である。カカをめぐる移籍劇の背景にはどんな事情があったのだろうか。
今年1月の時点で予想された移籍
いくら自身のマネジャーを務める父親から説得されても、世界的な名声を博するミランと比べ、ネームバリューの乏しいクラブへの移籍に、カカは魅力を感じなかったのだ。それが残留を決断した理由でもあった。
カカのミラン残留が決定し、このニュースがイタリアのマスコミに大きく取り上げられたときも、こんな憶測が飛び交った。伊紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』をはじめ幾つかのマスメディアは「もしレアル・マドリーからのオファーであったなら、移籍の説得に応じただろう」とし、「今シーズン終了後に再びカカの移籍話が再発する可能性が高い」と伝えたのだ。そして今回、5カ月前に予見されたように、レアル・マドリーへの移籍話が持ち上がった。
レアル・マドリーがカカに触手を伸ばしたのは何も初めてではない。彼らは3年前から毎シーズンのようにカカ獲得に動いていた。しかし、今回のオファーはこれまでと違って、レアル・マドリーからの一方的な求愛ではなかった。もう一方の当事者であるミランは、クラブの財政赤字を少しでも改善するため、カカが移籍を了承するような名門クラブからの高額オファーが届くのを待っていたのだ。
そのような状況下で、3年ぶりにレアル・マドリー会長に返り咲いたフロレンティーノ・ペレスがクラブ再建構想の目玉として、カカ獲得に乗り出してきた。お互いの利害は完全に一致した。ミランのアドリアーノ・ガッリアーニ副会長によると、ペレス会長とは2000年から友好関係を築いており、そのことが移籍をスムーズに実現させたという。
カカ自身も「ミランは財政問題に直面しているし、その上、(レアル・マドリーでプレーすることが)僕のキャリアにプラスになるなら、これはパーフェクトな選択だ」と認めている。