ロジユニヴァース劇的戴冠! 横山典「まさか勝てるとは」=日本ダービー

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萩原調教師、安堵の表情も「これからもっと良くしていかないと」

(左から)横山典、久米田オーナー、萩原調教師がバンザイ 【スポーツナビ】

 「ホッとしています」
 レース後、安堵の表情を浮かべたのはGI初勝利をこのダービーで飾った萩原調教師。皐月賞後は「どこが良くなかったのかを見直すことを直前までやっていました」と、敗因を1つ、1つ徹底的に洗い出し、そしてつかんだ頂点。
 「僕よりもスタッフがよくやってくれました。アドバイスをもらったりもしましたし、僕以上にスタッフが頑張ってくれた」
 そして、「トモの踏み込みの問題だったと思いますね」と、この勝利で皐月賞の明確な敗因もハッキリしてきたとダービートレーナーは語る。

 執念の調整が実り、23年ぶりとなる皐月賞2ケタ着順からの大反撃を成功させて再び証明した3歳トップの能力。しかし、この1勝だけで終わらせるつもりもなければ、満足もしていない。萩原調教師はこれからの展望を語った。
 「皐月賞は失敗したなという気持ちでしたが、これで結果が出たとは思っていません。皐月賞の敗因がつかめたことで、今後の調整がやりやすくなると思いますし、もっとロジユニヴァースを良くしていかなくちゃならないと思っています。夏は使うレースがないので、秋以降に関してはオーナーと相談していきたい」

新・3強物語、決着戦はクラシック最後の一冠・菊花賞へ

12年ぶりの関東所属のダービー馬として秋にはさらなる飛躍が期待される 【スポーツナビ】

 2006年生まれの3歳世代7768頭の頂点に立ったのは、1997年サニーブライアン以来12年ぶりとなる関東馬のロジユニヴァース。
 「これだけ関東が低迷している中での勝利は、やっぱり大きいと思う」と横山典。だが、リーチザクラウンも同じように皐月賞大敗から巻き返して能力の高さを証明し、一方、皐月賞でのこの2頭と入れ替わるように、今度はアンライバルドが不完全燃焼で終わっている。
 関西馬2頭とのライバル関係は終わっていないし、特にアンライバルドとの勝負付けはいまだ済んでいない。

 『3強』は、やはり『3強』だった。2009年につむがれた新・3強ライバル物語はクラシック最後の三冠目、秋の淀3000メートル菊花賞(10月25日、京都3000メートル芝)へと続く。

雨に泣いたアンライバルド、岩田「ヘロヘロだった」

二冠ならず……アンライバルドは雨と不良馬場に泣いた 【スポーツナビ】

 無残に散った、父に続く春二冠と兄に続く兄弟制覇の夢。雨に泣いたアンライバルドのダービーだった。
 午後から天気は急激に雨脚を強め、やや重馬場がアッという間に不良馬場に変更。いくら2走前のGIIスプリングSで雨の競馬を体験しているとは言っても、この時は良馬場。瞬発力を武器とする同馬にとって、不良馬場では持ち味がまったく生かせなかった。
 「やっぱり下(馬場)の影響ですね。ここまで泥んこになったら厳しい」
 レース後、主戦の岩田が力なく振り返った。

 道中は中団より後ろ、14〜15番手。「もっと出していこうと思ったんですけど、同じ8枠や7枠の馬も同じくらいに出していったので。無理して行ってもダメですから」と理想よりは後ろのポジションになったが、「でも、向こう正面ではハミも外れて楽に行けていた」と、好感触で追走できた。
 しかし、自慢の瞬発力を殺す極悪馬場がジワジワとアンライバルドのスタミナも削り取り、3コーナー過ぎから「馬場を気にしていた」と怪しくなる手応え。そして、「直線の真ん中くらいで、もうヘロヘロに」。はるか前を行くロジユニヴァースを捕まえる脚はまったく残っていなかった。
 「返し馬の感触も良かったんですけど……。今日の前半くらいの馬場だったらね。この馬場で馬にはかわいそうだった」

 一方、同馬を管理する友道調教師も「今日は馬場に尽きます。力のいる馬場はダメですね。少しの道悪なら大丈夫だったんですが」と、ダービーでは40年ぶりとなった不良馬場にお手上げ。「落ち着きもあったし、出来も問題なかった」と馬の仕上がりには自信があっただけに、無情の涙雨となってしまった。
 今後は秋に備え「放牧に出します」とのこと。ダービーではロジユニヴァースに大反撃を食らってしまったが、秋はアンライバルドがお返しをする番だ。決着はついていない。

武豊「勝ちたかった」、リーチザクラウン意地の2着

3強の一角リーチザクラウンと武豊(右・緑帽)が意地を見せた2着死守 【スポーツナビ】

 意地の2着死守だった。皐月賞では3強の一角に挙げられたリーチザクラウンだったが、レースでは精神面のモロさを露呈し13着惨敗。迎えたダービーは人気も5番目に落とし、脇役扱いとなっていた。
 だが、「今日は折り合いもついたし、皐月賞とは全然違うレースができた」(武豊)と、この大一番で“変身”。スイスイと2番手から先行すると、直線先頭で見せ場たっぷり。改めて素質の高さを見せつけた。

 だが、「あそこまで行ったら勝ちたかったですね」と、レース後の武豊に満足の表情はない。3コーナー過ぎまでは「いい感じでいけました」と名手も納得の運びだったが、4コーナーで1つの誤算。逃げたジョーカプチーノがずるずると後退してきたときに「気の難しいところを出して、後ろと差を詰められてしまった。本当は後続と2〜3馬身差を保ったまま、あと1ハロンくらい行きたかったんですが」と、理想的な形のセーフティリードで、最後の直線を迎えることができなかった。

 また、大雨にたたられた不良馬場ももう1つの誤算。「今日はちょっと降り過ぎましたね。昨日ぐらいの馬場だったら」。
 昨年暮れのGIIIラジオNIKKEI杯2歳Sに続き、またしても宿敵ロジユニヴァースに4馬身も前を行かれる形で敗戦したが、それでもリーチザクラウンも底力を見せた。ライバル2頭に分けられた春二冠。もちろん、秋の最後の一冠・菊花賞は3強の一角としてリーチザクラウンが獲りに行く。

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