『カナ・スマイル』、再び。=バレーボール・大山加奈インタビュー

松瀬学

バレーボールができる幸せを感じて

「リーグで結果を出していけば、(ロンドン)オリンピックは見えてくると思います」 【スポーツナビ】

――妹の未希さんは同じチームです。いつも仲良しですよね。どんな存在ですか。

 手術をするかどうかのときも、未希は「絶対、大丈夫だよ」と言ってくれました。一番近くで見てくれている未希がそう言ってくれるのなら、本当に大丈夫そうな気がしてきたんです。
 でも、わたしがコートに立つときは、同じポジションの未希との交代になるんです。自分が出られなくなるのに、練習を最後まで付き合ってくれるし、すごく応援してくれる。ありがたいなと思っています。

――これから、第二章の始まりですね。

 一度、全日本からは離れます。一日でも早く、全日本でやれるという自信をつけて戻ってきたいなと思います。ただ焦っちゃ駄目ですね。早く試合で戦いたいという気持ちはありますけども、一日一日を大切にやっていきたい。トレーナーや監督さんと相談しながら、頑張りたいと思っています。体力的にも技術的にも充実して、リーグで結果を出していけば、(ロンドン)オリンピックは見えてくると思います。

――新たな夢は、なんですか。

 ゆ・め(夢)、ですか。バレーボールができるのが当たり前じゃなく、それはすごく幸せなことなんだなと感じています。自分ひとりだったら、こうして復活できませんでした。この感謝の気持ちを忘れずに、楽しくプレーしていきたいと思います。

<インタビューを終えて>

松瀬氏(左)のインタビュー取材に応える大山 【BS日本テレビ『BSスポーツ LIVE&DREAM』】

 やけに明るくなった。まだ完全復調とはいかないのに、新生全日本の記者発表に笑顔で参加した。その日の夕食後も僕らのインタビューに快く応じてくれた。2、3年前なら、こんなことは絶対しなかっただろう。
 そんな感想を漏らすと、大山加奈さんはころころと笑った。「そうですね。あのころは最低だったなあ。いまはもう乗り越えました」。目に力もある。つまりはポジティブなのだ。
 そういえば、がらんとした体育館に入ってきたときのことだ。加奈さんが、2つのコートの間に置かれたインタビュー撮影用のパイプいすに向かってきた。そのとき、なんとコートを避けるように、ラインの外を遠回りして歩いてきた。一度はもうできないかもしれないと覚悟したバレーボールに対する深い愛情を感じたのだった。

<了>

BS日本テレビ『BSスポーツ LIVE&DREAM』

BS日本テレビ『BSスポーツ LIVE&DREAM』(毎週土曜22:00〜)放送 【BS日本テレビ『BSスポーツ LIVE&DREAM』】

BS日本テレビ『BSスポーツ LIVE&DREAM』では23日、大山加奈選手のインタビューを放送。けがによる不調、手術、リハビリの日々、それを乗り越えつつある今、感じている思いとは――。

<BS日本テレビ『BSスポーツ LIVE&DREAM』(毎週土曜日22:00〜)放送>
<放送予定>
■09年05月23日(土)バレーボール・大山加奈
■09年05月30日(土)陸上・都留文科大学女子リレーチーム
■09年06月06日(土)神戸9クルーズ(プロ野球 関西独立リーグ)・吉田えり

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著者プロフィール

1960年生まれ、長崎県出身。早稲田大学卒業後、共同通信社に入社。一貫してスポーツ畑を歩み、プロ野球、大相撲、サッカー、バレーボールの担当を経て、オリンピックなどをカバー。96年から4年間はニューヨーク支局に勤務。2002年に同社を退社し、ノンフィクション作家に。著著に『汚れた金メダルー中国ドーピング疑惑を追う』(文藝春秋)『早稲田ラグビー再生プロジェクト』『日本を想い、イラクを翔けた』『五輪ボイコット』(以上新潮社)『スクラム』(光文社)『サムライ・ハート上野由岐子』(集英社)『匠道』(講談社)など多数。BS日本テレビの『BSスポーツ LIVE&DREAM』(毎週土曜日午後10時)ではMCを務める。

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